【ワールドカップを戦った男たち#第3回】遠藤保仁 後編 #jfa #daihyo #夢を力に2018

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SAMURAI BLUEが、自国開催以外で初めてグループステージを突破した2010年南アフリカ大会。

岡田武史監督の指揮の元、ピッチに立ったグループステージ3戦目のデンマーク戦で遠藤選手は、ワールドカップでは自身初となる『ゴール』を決めている。得意のフリーキックだった。引き分け以上でノックアウトステージ進出を決められるという状況でこの一戦を迎えた日本は、前半17分に本田圭佑選手のフリーキックで先制点を奪うと、30分のフリーキックのシーンでキッカーに立った遠藤選手が右足でゴールを捉えて追加点を奪う。これにより俄然、優位に立った日本は最終的に3対1で勝利をおさめ、ノックアウトステージ進出を決めた。

「実は前日の公式練習でフリーキックの練習をしていた時は10本近く蹴ったのに、1本も決まらなかったんです(笑)。ただ、デンマーク戦は標高の高いスタジアムでの開催だったので、あらかじめ『ボールに当たる箇所がほんの少しでもズレたら大きくボールが飛んでしまう』とか『いつも通りの感覚で蹴っても普段以上にカーブがかかる』といった感覚をなんとなくでも掴めていたのは大きかった。それらを踏まえ、また、デンマーク戦では練習していたポイントより少し遠目だったことから、やや強めに蹴ったのですが、ボールが当たる箇所、角度、軌道まで全てイメージ通りにボールが飛び、ゴールを捉えることができました。このゴールで相手が3点取らなければいけない状況に追い込めたという意味では貴重なゴールだったと思います」

ただし、遠藤選手曰くこのゴールは、彼がサッカー人生で量産してきたゴールの中で「ベスト10にさえ、入らないゴール」だと振り返る。その理由には、彼らしい『ゴール』へのこだわりと、サッカー感が溢れていた。
「サッカーは一人で結果を出せるスポーツじゃない。だからこそ、僕はフリーキックのようにキッカーだけが目立つゴールより、流れの中から、みんなで繋いで奪うゴールが好きなんです。それに、ペナルティーキックでゴールを決めた時はメディアにも『誰がペナルティーキックを得たのか』というところまでクローズアップしてもらえるけど、フリーキックは大抵の場合、『誰が決めたか』だけがクローズアップされて、フリーキックを誰が獲得したかまで注目されることはまずない。僕が決めたフリーキックも…あの時は嘉人(大久保嘉人選手/ヴィッセル神戸=当時)がファウルを受けたことで僕のゴールが生まれましたが、それを覚えている人はほとんどいないんじゃないかな(笑)。そういう意味では…ゴールを決められたこと自体は素直に嬉しかったけど、自分の中では『ベストゴール』には入りません」

遠藤選手が出場した3度のワールドカップにおいて最も好成績を残したのも、この南アフリカ大会だ。同大会のグループステージにおいて、初戦のカメルーン戦を白星発したSAMURAI BLUEは、オランダ戦にこそ敗れたものの、先に書いた『引き分け以上で勝ち抜ける』という状況下での3戦目、デンマーク戦で白星を掴み、2002年以来、自国開催のワールドカップ以外では初のグループステージ突破を決める。その理由について彼は「1戦目を勝ったことによる心理的余裕」を挙げた。
「ワールドカップのグループステージは勝ち点9の奪い合いで、現実的に最初の2試合で1つでも白星を積み上げられなければグループステージ突破は厳しくなりますからね。そのどちらかで勝てばいいとはいえ、1戦目に勝った方が2戦目を戦うにあたっての心理的余裕が生まれると考えれば、南アフリカ大会で初戦を勝利できたのは大きかったし、その効果は2戦目を戦った際にすごく感じました。実際、仮に1戦目で敗れたとすると、2戦目のオランダ戦は『絶対に勝たなければいけない』という考えが働いて、もっとガチガチの戦いになっていたと思います。でも1戦目を勝っていたことでオランダ戦は入りかたも良かったし、負けはしましたけど、ある程度狙い通りのサッカーができて3戦目に繋げられた。それもデンマーク戦での結果を引き寄せられた理由だと思います」

その言葉を踏まえ、今回のロシア大会について尋ねてみる。遠藤選手自身は「自分が日本代表として戦っている時に、そこにいない現役選手からあれこれ分析されるのは好きじゃなかった」からだろう。「日本代表に関する戦術的な分析はしたくない」という前提で、グループステージ突破の『カギ』について、考えを聞かせてくれた。
「今大会も1、2戦目で白星が欲しいというのは間違いないはずですが、正直、南米の強さは尋常じゃないですから。上手さ、速さ、強さ、ズル賢さという全てを兼ね備えた選手が多い。例えば1対1のシーンにしても、ヨーロッパの選手なら力対力で真正面からバチンとぶつかってくるけど、南米は独特な強さで嫌な当たり方をしてくる。そういう意味では初戦のコロンビア戦はかなり難しい試合になるはず…と考えても、2戦目がキーなのかな、と。そこでしっかりと勝ち点3を積み上げるためのチームとしての空気があって、それをプレーに繋げられて、勝利という結果を掴めれば、突破の可能性は十分あると思います」

と同時に、ガンバ大阪監督時代には10年間にわたってともに仕事をし、数々のタイトルを獲得した西野朗日本代表監督についても、その手腕をよく知る遠藤だからこそのエールで激励した。
「ガンバ監督時代の西野さんは、どういう状況に置かれても常に攻撃的な姿勢を崩さない監督でした。途中交代の選手もほとんど前線の選手ばかりで、守備で固めるというような戦いもほぼなかったですしね。それはどんな大一番でも変わらなかった。そうした強気な姿勢が日本代表でも見られるのか。あるいは相手との力関係を考えてもっと現実的な戦い方を選択するのか。日本代表監督として指揮をとる姿をほぼ見ていないので、どういう戦いを目指されるのかは現時点で分かりませんが、僕は前者が西野さんの『勝負強さ』を裏付ける理由だと思うだけに、そういう姿が日本代表でも見られたら嬉しいなとは思います」

そう話す遠藤選手に、最後に改めて自身のことについて尋ねてみる。ここ最近は日本代表から遠ざかり、4大会連続のワールドカップ出場を実現できなかった中で、その胸にあるプロサッカー選手としての『野望』には今も『ワールドカップ』が含まれているのだろうか。
「カタール大会は目指しますか?」
単刀直入に質問をすると、間髪を入れずに「もちろん!」と言い切り、改めて日本代表への思いを聞かせてくれた。
「これまで選ばれてきた日本代表は常に自分を成長させてくれる場所でした。特に『海外組』ではなかった僕にとって、代表に行って世界を体感し、自分の実力を知り、課題を感じ、新たな強みを自分に備えるという繰り返しがなければ、今のキャリアもなかったと思います。だからこそ『代表引退』の概念は僕にはありません。サッカー選手として国を背負って戦う厳しさも、楽しさも十分に知っているからこそ、現役選手である限りは全力で、カタールを目指します」

遠藤保仁選手が日本代表として戦った国際Aマッチは、日本人では歴代最多となる152試合。それだけの経験を積み上げてもなお、かつて日本代表を目指していた10代の頃のように目を輝かせて日本代表への『欲』をギラつかせる。その変わらないプロサッカー選手としての熱こそが、今も彼が日本のトップリーグで輝き続ける理由でもある。

(このインタビューは6月4日に収録したものです。)

 

夢を力に2018

U-19日本代表がロシアで活動開始 #jfa #daihyo

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10月に行われるAFC U-19選手権インドネシア2018で出場権を獲得し、FIFA U-20ワールドカップ2019で活躍することを目標としたU-19日本代表がロシアで活動を開始しました。

5月末に大阪府・堺市でトレーニングキャンプを行ったチームは今回、2018FIFAワールドカップロシアに参加するSAMURAI BLUE(日本代表)のトレーニングパートナーとしての役割も果たします。期間中にはSAMURAI BLUE(日本代表)とのトレーニングマッチや地元の強豪クラブFCルビン・カザンのU-20チームとの試合を予定しています。その他、SAMURAI BLUE(日本代表)の試合の観戦なども予定しており、肌でワールドカップを感じ、今年開催されるAFC U-19選手権インドネシア2018、来年開催されるFIFA U-20ワールドカップポーランド2019で活躍し、次回の2022FIFAワールドカップカタールで1人でも多くメンバーに入ることを目的としてこの遠征が実現しました。

17日(日)成田空港集合したチームは、18日(月)に乗り換えを含め約18時間かけてSAMURAI BLUEのベースキャンプであるロシア・カザンにあるFCルビン・カザンの宿泊棟に到着しました。移動の疲れを取るため、また時差対策も兼ねて、チームは早速トレーニングを開始。入念なストレッチやランニングで体をほぐすと、最後は軽めのボール回しを行いました。夜には、海外遠征中のFW田川亨介選手やU-18日本代表ポルトガル遠征に参加していた影山雅永監督も合流し、全員が集合しました。今回招集されたメンバーは、AFC U-19選手権2018予選を経験している選手が16人、FIFA U-17ワールドカップインド2017を経験している選手が4人、3月に開催されたインドネシア遠征を経験した選手が17人と、チームの熟成度は少しずつ高まっています。しかし、影山雅永監督は日頃より競争の大事さを選手に唱えており、「U-18日本代表ポルトガル遠征で印象残るプレーをした選手もU-19日本代表候補選手であることは忘れないでほしい。この遠征でベストなプレーを見せてほしいと」と冒頭のミーティングで選手に伝えました。

翌日19日(火)は、SAMURAI BLUEの大事な初戦日。U-19日本代表もバスで長時間かけて試合会場のサランスクに移動し、試合を観戦しました。ワールドカップ独特の雰囲気、両チームの国歌斉唱、サポーター、そして何よりプレーしているSAMURAI BLUEの活躍を見て、選手たちも大いに刺激を受けました。目指すべき選手のプレーやワールドカップを肌で感じ、選手も大興奮の一日でした。翌20日(水)は2部トレーニングを実施。午前中は10人組でのトロイカパスで体を温めると、最後はホッケーゲームと称し、10対10のゲームを実施。これは、このチームで継続的に行っているトレーニングで、ハーフコートでゴール前にポール2本をゴールに見立て、その間を攻撃陣も守備陣も跨いではいけないルールの下、またポールの後ろからもシュートを打てる状況で実施するゲームです。いかにタイミングを見て背後を狙い続けるか、また前線を狙う意識を高めるトレーニングとなりました。午後は、より強度を上げてトレーニングを行いました。柔軟な判断力を求められる9対9+2フリーマンを行った後はシュートトレーニングを行い、最後は6分ハーフの紅白戦で締めくくりました。20日(水)はSAMURAI BLUEとのトレーニング、21日(木)はU-20 FCルビン・カザンとのトレーニングマッチを予定しています。

選手コメント

GK #1 大迫敬介 選手(サンフレッチェ広島)
大阪でのトレーニングキャンプに引き続き、ロシア遠征に参加できて嬉しく思います。まだ2日間ですが、良い雰囲気でトレーニングができており、これまでチームで積み上げてきたものの質をより上げるために集中力高くトレーニングができています。今回はFIFAワールドカップの開催地であるロシアへの遠征ということで前々からとても楽しみにしていました。トレーニングパートナーは一生に一度の経験だと思いますので、積極的に、様々なことに刺激を受けながら成長したいと思います。SAMURAI BLUEの初戦やスペイン対イランの試合などを観戦させていただき、本当に感謝しております。明日以降には、SAMURAI BLUEとのトレーニングマッチもあるので、少しでもSAMURAI BLUEの力になれるように全力を尽くしたいと思います。

DF #19 谷口栄斗 選手(国士舘大)
今回U-19日本代表ロシア遠征に招集され、とても嬉しく思います。ロシアに着いてから3日が経ちましたが、トレーニングではとても良い雰囲気で取り組むことができています。影山監督から学んでいることを皆で実践して、お互いがより高いレベルを求めているので、多くの良いプレーもでていると思います。昨日はSAMURAI BLUEの初戦を現地で観戦し、かけがえのない経験となりました。素晴らしい勝利でしたし、日本を背負ってこの舞台で勝つことがどれだけ難しいかを実感しました。日常ではないワールドカップという環境で、最高のプレーを見せるのは冷静に試合に入り込めるかが大事だと感じました、本日はスペイン対イランの試合を観戦し、守りを固めるイランに対してのスペインの試合の運び方はとても勉強になりました。この遠征では普段経験できないことが多いので、1日1日を大事にしていきたいです。AFCU-19選手権インドネシア2018に向けて、より良いチーム作りを全員でしたいです。

MF #22 滝裕太 選手(清水エスパルス)
U-19日本代表に再び招集されて素直に嬉しい気持ちです。大阪のトレーニングキャンプでのプレーが評価されたと思いますので、このチャンスを必ず掴みたいです。今回のロシア遠征は、日常では絶対に味わえないような経験がたくさんできて、目の前でFIFAワールドカップ見るという貴重な機会をいただきました。FIFAワールドカップという独特の雰囲気の下、国を背負っているといういつも以上にプレッシャーがかかっているにもかかわらず、いつも通りプレーできている選手に刺激を受けました。本日観戦したスペイン対イランの試合では、足元・トラップ・パスの技術が高い選手が多く、世界トップレベルの試合を肌で感じました。どの出場チームを見ても、国を背負って戦う姿は熱いものを強く感じました。これからはこの熱い気持ちを常に持ち、残りの試合やトレーニングを取り組んでいきたいと思います。SAMURAI BLUEのためにも頑張ります。

FW #18 原大智 選手(FC東京)
今回、U-19日本代表としてロシア遠征メンバーに招集されとても嬉しい気持ちです。今回はワールドカップ観戦やSAMURAI BLUEとのトレーニングを共にできるなど、絶対にできないことなので、個人としても貴重な経験になります。昨日のSAMURAI BLUEのコロンビア戦では、FIFAワールドカップの雰囲気を肌で感じ、勝利した選手が本当に格好良く、羨ましく思いました。いつか自分もFIFAワールドカップで活躍したいと強く感じました。選手皆が同じように強い刺激を受けると思いますので、お互い刺激しながらチームとしても成長していきます。明日はSAMURAI BLUEの選手たちとトレーニングできるので、少しでも多くのものを学び、成長したいと思います。

FW #11 安藤瑞季 選手(セレッソ大阪)
少し怪我をしてしまいましたが、無事に復帰し、SAMURAI BLUEのトレーニングパートナーとして招集されて心から嬉しい気持ちでいっぱいです。現地でのトレーニングは、ワールドカップの本番同様、長い芝のピッチに慣れるのに時間はかかりましたが、徐々に慣れてきて、高い意識を持ってトレーニングに取り組むことができています。昨日、SAMURAI BLUEの初戦を現地で見て、4年後にこのピッチに必ず立ちたいと思いました。コロンビアという、南米屈指の強豪相手にチームとして、個人としても立ち向かう姿は、見ている自分たちまでも戦っている気持ちになりました。このチームが目指すべきのAFC U-19選手権インドネシア2018突破、そしてFIFA U-20ワールドカップポーランド2019への切符を掴み取り、良い結果を残すためチーム一丸となって、皆で充実した遠征にしていきたいです。

スケジュール

6月18日(月) PM トレーニング
6月19日(火) TBC 2018FIFAワールドカップロシア
SAMURAI BLUE vs コロンビア代表 観戦(サランスク)
6月20日(水) TBC トレーニング
6月21日(木) TBC トレーニング
6月22日(金) TBC 親善試合 vs U-20FCルビン・カザン
6月23日(土) TBC トレーニング
6月24日(日) TBC 2018FIFAワールドカップロシア
SAMURAI BLUE vs セネガル代表 観戦(エカテリンブルク)
6月25日(月) TBC トレーニング
6月26日(火) TBC 親善試合(調整中)

※時間はすべて現地時間。
※スケジュールは、チームのコンディションや天候等により急きょ変更する場合があります。

英国メディアが見た日本。「大迫、半端ない」は少なく…コロンビアに勝利も実力には懐疑的【ロシアW杯】

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日本代表は19日、ロシアワールドカップ・グループH第1節においてコロンビア代表を2-1で下し、白星発進を飾った。日本中を歓喜に包んだこの一戦を、イギリスメディアはどのように報じたのか。(文:松澤浩三【イングランド】)