インターハイ東京2回戦 大成×東京朝鮮@東久留米総合G

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0610kurume3.JPG共に初めての全国を明確に目指す強豪同士の激突。大成と東京朝鮮の一戦は、引き続き東久留米総合高校グラウンドです。
4月の関東大会予選では多摩大目黒を1-0で退けると、優勝候補の一角と目されていた國學院久我山にも2-0で勝利を収めて一気に注目を集めたものの、準々決勝で都立狛江にPK戦で競り負け、悔しい敗退を突き付けられた大成。迎えた今大会の一次トーナメントは、毎年好チームを創り上げている私立武蔵を1-0で下して、"ベスト14"まで。同校初の準々決勝進出まではあと1勝です。
近年は各コンペティションで確実に上位進出こそ果たすものの、帝京同様に大事な代表決定戦で敗れることも少なくなく、悲願の全国には一歩及ばない状況が続いている東京朝鮮。今シーズンの関東大会予選は、初戦で都立松が谷を1-0で下すも、2回戦で駒澤大学高に0-1と惜敗。さらなる飛躍を誓い、臨んだ今大会は一次トーナメントで駒場東邦を4-0、日大三を4-1でそれぞれ倒して2回戦進出。「関東大会で負けた後に3年みんなでミーティングして、『絶対全国に行こう』という意思統一ができた」と明かすのはユン・チス(3年・東京朝鮮中)。その目標のためにも負けられない80分間に向かいます。清瀬はこの日の3試合で一番の本降りに。注目の好カードは大成のキックオフでスタートしました。


いきなりの先制パンチは3分の東京朝鮮。ホン・リジン(3年・東京朝鮮第一中)のパスを受けたリ・チャンギ(3年・東京朝鮮中)は、「前を見たら相手が誰も近くにいなくて、ゴールも空いていたので」思い切って30mミドルにトライすると、ボールはそのままゴールネットへ突き刺さります。「『おお、メッチャ良いコース行ったな』みたいな(笑) 喜びと驚きが半分半分でした」というリ・チャンギのゴラッソに、「ラッキーゴールというか予想外のゴールでしたね」と姜宗鎭監督が笑えば、センターバックのチョン・ユギョン(3年・東京朝鮮第一中)も「『ああ、スゲー。入った」みたいな感じでした」とこれまた笑顔。9番の一振りで、東京朝鮮が開始早々にスコアを動かしました。
以降もゲームリズムは東京朝鮮。7分にホン・リジンが蹴った左CKから、リ・チャンギが打ったシュートは大成の右サイドハーフを務める阪口駿(2年・あきる野東中)にクリアされたものの、8分にもホン・リジンの右CKはこぼれ、再びホン・リジンが上げたクロスに、リ・チャンギが合わせたボレーはゴール右へ。11分にも左サイドでパク・チュンボム(3年・東京朝鮮中)のパスから、エリア内へ潜ったキム・スソン(2年・東京朝鮮中)のシュートは、DFのクリアがわずかに枠の右へ逸れ、あわやオウンゴールというシーンに。「点数を決めた後も良い形ができていた」とはホン・リジン。続くレッドタイガーの攻勢。
15分には大成もようやくファーストシュート。ボランチの内田康平(2年・FC多摩)を起点に、左サイドを単騎で運んだ大石勇冴(2年・FC多摩)が枠内シュートを放つも、東京朝鮮のGKカン・ブラマ(3年・東京朝鮮第一中)がしっかりキャッチ。22分は東京朝鮮にFKのチャンス。中央左寄り、ゴールまで約25mの位置からユン・チスが直接狙ったキックは、カベに入っていた味方にヒット。23分にも東京朝鮮は1トップに入ったキム・チャンミョン(3年・埼玉朝鮮中)が足裏で巧みに残し、パク・チュンボムのシュートは大成のGK柴田憲伸(3年・府ロクJY)にキャッチされたものの、追加点への意欲を隠しません。
26分は大成。服部寛太(2年・FC府中)のドリブルで得た左FKを、今西奏真(2年・府ロクJY)が蹴り込むも、キム・チャンミョンが高い打点でクリア。31分は東京朝鮮。キム・チャンミョンのポストから、右に張り出したハ・ジュノン(3年・東京朝鮮第一中)が中央へ折り返すと、キム・スソンのシュートは柴田がセーブ。こぼれをキム・チャンミョンが落とし、再び打ったキム・スソンのシュートは枠の右へ。37分は大成。ここも左サイドをドリブルで持ち上がった大石は、ミドルレンジから枠へ飛ばすも、カン・ブラマが丁寧にキャッチ。「点を取れたことで勢いに乗れた所もあるんですけど、前半に2点目が欲しかったですね」とは姜監督ですが、最初の40分間は東京朝鮮が1点のリードを手にして、ハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから大成に2枚替え。服部と風岡信哉(3年・和光ユナイテッド川崎FC)の2トップに替えて、児島進之介(3年・府ロクJY)とルーキーの山田陸駆(1年・Forza'02)をそのまま最前線に投入し、アタッカーの顔触れに大きな変化を加えましたが、後半のファーストシュートも東京朝鮮。41分に右サイドでチェ・テソン(3年・埼玉朝鮮中)を起点に、縦に仕掛けたユン・チスのシュートは枠の左へ逸れたものの好トライ。大成も49分には右から今西がCKを蹴り込むも、キム・スソンが確実にクリア。スコアは変わりません。
53分は東京朝鮮。ホン・リジンがショートで始めた左CKをキム・スソンが戻し、ホン・リジンが放ったシュートはクロスバーの上へ。直後の53分も東京朝鮮。キム・スソンが左サイドを切り裂き、そのまま中央へ折り返すと、ワントラップからユン・チスが素早くゴール左スミへ打ち込んだシュートは、柴田が横っ飛びでキャッチ。55分も東京朝鮮。ホン・リジンの左CKをキャプテンのムン・ヒョンジュン(3年・埼玉朝鮮中)が残し、チョン・ユギョンが枠へ飛ばしたシュートは柴田がファインセーブで回避し、思わず頭を抱える4番のセンターバック。東京朝鮮にしてみれば「2点目を取れるかどうかが勝負の分かれ目」(姜監督)ではあるもの、大成も佐藤イライジャ(3年・FC.GRORIA)と金井渉(2年・FC多摩)の両センターバックを中心に守備の集中力は途切れず、なかなか届かない2つ目のゴール。
ここから15分近くは膠着した展開が続き、お互いにチャンスらしいチャンスを創り切れずにいる流れの中で、69分に大成ベンチはこの日2度目のダブルチェンジ。ボランチの宮田龍弥(3年・東久留米下里中)と大石を下げて、原統哉(3年・FC府中)と平川優大(2年・調布第八中)をピッチに解き放ち、最後の勝負へ打って出ると、70分には相手のクリアを拾った阪口がミドルを放つも、カン・ブラマががっちりキャッチ。いよいよ試合は残り10分とアディショナルタイムのみ。
78分は大成。右サイドバックの山梨雄也(3年・Forza'02)が果敢に縦へ仕掛け、原が放ったシュートは「口だけだったら周りが付いてこないのは当たり前なので、先頭に立ってみんなを姿勢で連れていくような、そういうキャプテンを目指しています」と語るムン・ヒョンジュンが体でブロック。80+3分も大成。右サイドから山田がクロスを上げるも、チョン・ユギョンが大きくクリア。「対人と空中戦は絶対に負けないことを練習中から求め合っています」(チョン・ユギョン)というセンターバックコンビが築く強固な堅牢。
姜監督も80+3分に1人目の交替を決断。キム・スソンとパク・スンテ(3年・東京朝鮮中)をスイッチして、着手するゲームクローズ。80+4分は大成のラストチャンス。右サイドのスローインを阪口が投げ入れるも、シュートには持ち込めず、東京朝鮮が凌ぐと、しばらくして聞こえたのは試合終了を告げるホイッスル。「自分たちの甘さにも気付かされましたけど、勝てたのが一番良かったですね」とホン・リジンも口にした東京朝鮮が、初の全国まであと2勝に迫る結果となりました。


昨年の選手権予選。関東第一に延長戦の末、3-4で敗れた準決勝はとにかく素晴らしいゲームでしたが、その一戦にスタメン出場していたのが、当時2年生だったホン・リジンとチョン・ユギョン。「ぶっちゃけまだ新チームになって、『あの時の試合は吹っ切れたよ』というような試合やプレーは全然なくて。あの時は途中交替だったんですけど、ベンチから水を渡す時も『頼むよ』とか、そういう声しか掛けられなくて、試合が終わった後もずっと泣いてたんです。あの時の悔しさはあの場じゃないと取り返せないと思いますし、それこそインターハイで全国に出ないと『俺はあの時から強くなったんだ』って思えないので、あの試合がモチベーションになっている部分もあるのは大きかったですね」(ホン・リジン)「あそこで勝っていればもっと違ったと思いますし、やっぱり全国を目指している上で、あそこを勝ち切らないとダメなので、日々の練習で培ったものを100パーセント出せるように、試合前の準備やメンタルの持ち方はだいぶ工夫して入るようになりました。アップの前に自分の体をちゃんとチェックして、30分は自分と向き合って、ゲームに入れるようにしているんです」(チョン・ユギョン)。"惜しい"で終わらない結果を手繰り寄せるため、あのゲームの経験を生かすべく、日々奮闘している様子が2人の言葉から窺えました。次は帝京との『十条ダービー』。「名門のチームとやれるということで、彼らが頑張ると思いますので、僕もしっかり手助けをして勝ちに行きたいと思いますね」と言い切ったのは姜監督。全国まではあと2勝。東京朝鮮の歴史を変え得る彼らの、行く先に待っているものは果たして。      土屋


インターハイ東京2回戦 早稲田実業×帝京@東久留米総合G

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0610kurume2.JPG4月の関東大会予選でも対峙した両雄のリターンマッチ。早稲田実業と帝京のベスト8を巡る一戦は、引き続き東久留米総合高校グラウンドです。
昨シーズンは関東大会予選、インターハイ予選と共に東京8強まで勝ち上がり、選手権予選こそ都大会初戦で東京朝鮮にPK戦で敗れたものの、近年はコンスタントに都でも上位進出を果たしている早稲田実業。迎えた今シーズンの関東大会予選は、初戦で帝京に0-1で惜敗を喫しており、今大会の一次トーナメントで暁星と日大豊山を倒し、辿り着いたこのゲームは何が何でもリベンジを果たしたい所。気合十分で目の前の80分間へ向かいます。
ここ最近のトーナメントコンペティションでは、常にファイナルやセミファイナル近くまで勝ち上がってくるものの、代表決定戦での敗退が続いている帝京。新チーム初の公式戦となった関東大会予選も、早稲田実業、都立東久留米総合、成立学園と難敵を相次いで退け、関東大会出場に王手を懸けながら、準決勝で駿台学園に屈して、またも代表権は幻に。今大会は一次トーナメントの明大明治戦でも開始早々に先制を許しながら、終わってみれば6ゴールを奪ってこのステージへ。久々に夏の全国を手繰り寄せるためにも、このクォーターファイナルは落とせません。清瀬の上空からは1試合目以上にはっきりとした雨粒が。意地と意地のぶつかり合いは、12時ジャストにキックオフされました。


均衡が破れたのは開始早々の8分。立ち上がりから左サイドのアタックで優勢を取りつつあった早実は、ここも左サイドで10番の橋山航輔(3年・横浜F・マリノスJY)が、センターバックの鈴木俊也(3年・FC東京U-15深川)が通したスルーパスに抜け出すと、切り返してから中央へラストパス。ここに走り込んだ木下悠人(3年・FC.GIUSTI世田谷)のシュートは鮮やかにゴールネットを揺らしてみせます。勢いそのままに3年生コンビで先制弾を。早実が1点のリードを手にしました。
「前回の試合も立ち上がりに失点していて、『締めよう』という話だったんですけど、今回もまた立ち上がりにやられてしまった」と入澤大(3年・FC東京U-15深川)も話した帝京は、またも1点を追い掛ける展開に。12分には三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)の左クロスがこぼれると、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)のシュートは早実の左サイドバック新井田裕介(2年・東急SレイエスFC)が体でブロックし、その流れから塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)が上げた右クロスに、195センチの赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)がヘディングで合わせるも、ボールはクロスバーの上へ。同点とは行きません。
逆に17分は早実に決定機。左サイドを単騎で抜け出した橋山は、そのままシュートまで持ち込むも、ここは帝京のGK白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)が果敢に飛び出してファインセーブ。18分は帝京。右サイドを中島涼太(3年・練馬石神井中)がえぐり切り、折り返しを赤井がシュートまで持ち込むもヒットせず。21分も帝京。中盤で前を向いた入澤がスルーパスを送り、3列目から中村伶央(3年・FC東京U-15深川)が抜け出すも、早実のGK山崎泰斗(2年・浦和レッズJY)は果敢に飛び出し、オフェンスファウルになりましたが、「みんなで慌てないでできたかなという感じです」とは三浦。少しずつ帝京が押し戻します。
30分は早実。オーバーラップした鈴木が左アーリーを放り込み、収めた橋山が右へ流れながら打ったシュートは白鳥がファインセーブで掻き出し、こぼれを橋山が中へ送るも、植村竜也(2年・東京SAISON)とはわずかに合わず。31分は帝京。佐々木を起点に、三浦がダイレクトでスルーパスを通し、入澤が右足アウトで狙ったシュートは山崎がキャッチ。32分も帝京。左サイドバックの鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)がクロスを送り、赤井が競り勝った所に突っ込んだ入澤はシュートまで至らなかったものの、漂うゴールの香り。
輝いたのはカナリア軍団の長身ストライカー。33分に「1年生から出させてもらっているので、自分が引っ張っていかなくてはいけない」と意識する三浦が右へ振り分け、中島はダイレクトでクロスをファーへ。走り込んだ赤井のヘディングは、右スミのゴールネットへ収まります。「気持ち的にも彼自身は結構良いコンディションでやっているんでしょうね」と日比監督も認めた赤井の一撃。スコアは振り出しに引き戻されました。
以降は帝京がセットプレーで狙う次のゴール。35分に三浦が蹴った左FKを、ファーで赤井が戻すと、深田憧(3年・横河武蔵野FC JY)が放ったシュートは鈴木がブロック。37分にも三浦が右からCKを蹴り込むも、ファーに飛び込んだ赤井はシュートを繰り出せず。40+1分にも三浦が蹴り込んだ右CKは、早実の高橋一真(3年・Forza'02)が大きくクリア。やや帝京が押し戻し、フィフティに近い展開となった前半は、タイスコアで40分間が終了しました。


後半はスタートから早実に交替が。植村に替えて、永瀬祐(2年・エスペランサSC)を1枚目のカードとして送り込むと、次のゴールが記録されたのは直後の41分。左サイドでのルーズボールを諦めずに追った新井田が、DFともつれながら収めたボールを中へ。ニアに飛び込んだ橋山のシュートは、ゴール左スミギリギリに飛び込みます。「普通にやっておけば何も問題なかったシーン」とは帝京の日比威監督ですが、一瞬のスキを突いた早実が再びリードします。
51分は早実のチャンス。右サイドバックの佐井康人(1年・Forza'02)を起点に、木下が鋭いスルーパスを繰り出し、小松寛太(2年・三菱養和巣鴨JY)が走るも飛び出した白鳥がきっちりクリア。53分は帝京のセットプレー。右CKを三浦が蹴り込み、ニアで早実のセンターバック吉岡直輝(3年・浦和レッズJY)が弾くと、塩入が残したボールを中村が叩いたミドルは枠の上へ。お互いに手数を出し合う中で、生まれたのはカナリア軍団が誇るレフティのゴラッソ。
55分に帝京はスローインの流れから、塩入が左足でグラウンダーの右クロスを放り込むと、収めた三浦は「相手をブロックしながら左足が伸びて、うまく触れたかなと思います」と振り返ったように、マーカーを背負いながらGKを浮き球でかわしてループ。ボールはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。「たぶんキーパーが前に出ていたので、頭の横ぐらいを狙ったら入りました。あまり覚えていないですけど感覚です」と笑った8番の一撃に、日比監督も「キーパーかわしてループまでやって、スーパーでしたね」と称賛を口に。またも帝京が追い付いてみせました。
66分の主役はナンバーセブン。中央で前を向いた佐々木が少し運んで右へ送り、中島が打ち切ったシュートは左ポストに当たって跳ね返るも、こぼれに反応した赤井はすかさず後方へ。「このスリッピーなグラウンドだったので、『ボールが来たら、まずはシュート』という意識で思い切って」狙った入澤のシュートは右スミギリギリを捉え、ゴールネットへ滑り込みます。「良い感じで入ってくれたので良かったです」という入澤は、渾身のガッツポーズを問われ、「素が出ちゃいました(笑)」を満面の笑み。とうとうこのゲームで初めて、帝京が一歩前に踏み出します。
2度のリードを引っ繰り返された早実は、71分に2人目の交替。小松を下げて、佐久間大地(2年・ラッセル郡山)を送り込み、右から亀井英志(3年・早稲田実業中)、鈴木、橋山が並ぶ3トップ気味の布陣で最後の勝負へ出たものの、75分は帝京にチャンス。入澤が右へ展開し、中島のクロスから左足で放った佐々木のシュートはゴール右へ外れるも、あわや4点目というシーンを。加えて終盤に差し掛かり、萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)と深田のセンターバックコンビを中心に、安定感を取り戻した帝京ディフェンス。
早実も76分に植村と大橋優貴(2年・VITESSE福岡FC)をスイッチする3人目の交替を敢行しましたが、アディショナルタイムの2分間でもゴールは生まれず、清瀬の空に鳴り響いたファイナルホイッスル。「良い内容ではないですけど、80分を通してみんなでブレないでできたかなと思います」と入澤も話した帝京が、準々決勝へと駒を進める結果となりました。


「彼は良い選手ですね。クレバーな選手で、帝京にはない部分を持っているので凄く勉強になりますね」と日比監督が名指しで称えた早実の鈴木は、前述したようにFC東京U-15深川出身。この日の決勝ゴールを挙げた入澤とは、中学時代のチームメイトでした。「相手の4番が深川のチームメイトで、そういう所で想いがあるというか、負けられないなという気がしていました」と明かした入澤に、「試合前に連絡は取ったの?」と尋ねると、「LINEはしました。『久留総のどしゃぶりは強いぞ』みたいなことを送ってきたので、無視しました(笑)」とのこと。「やっぱり卒団してから時間が経って、『あっちも頑張っているから、こっちも頑張らないといけない』という気持ちはありますね」と続けた言葉に、鈴木への気遣いも感じられました。帝京のスタメンには実に7人のJ下部出身者が名を連ねる中で、入澤も「自分たちの代はユースに上がれなかった人たちが多い代なので、『なにくそ』という想いを持っている選手が多いと思いますし、まとまった時は強いと思います」ときっぱり。自らの進んだ道の正しさを証明する意味でも、彼らの戦いはまだまだ続きます。       土屋


インターハイ東京2回戦 都立東大和南×成立学園@東久留米総合G

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10610kurume.JPG新鋭のサザンクロスと強豪のゼブラ軍団が激突する、東京8強を懸けた好カード。都立東大和南と成立学園の2回戦は東久留米総合高校グラウンドです。
選手権予選は一昨シーズンがベスト4で、昨シーズンがベスト8。もはや都大会常連として、東京でも存在感を高めつつある都立東大和南。迎えた今シーズンの関東大会予選は、いきなり初戦でぶつかった東海大高輪台との一戦を1-0で制すると、結果的にチャンピオンになる関東第一にも、敗れたものの0-1と善戦。今大会も一次トーナメントで中大附属を1-0で下し、二次トーナメント初戦でも難敵の都立東久留米総合相手を、4-1という衝撃のスコアで倒してこのステージまで。絶対的なエースの世継昭斗(3年・横河武蔵野FC JY)を負傷で欠くのは懸念材料ですが、2年ぶりの準々決勝進出まではあと1勝です。
インターハイは3年、選手権は12年に渡って全国出場から遠ざかっている成立学園。今シーズンは五十嵐和也監督が新指揮官に就任し、センターバックの照山颯人(3年・柏レイソルU-15)、フォワードの窪田稜(3年・S-P FUTE U-15)と攻守の要を筆頭に、昨年からの主力も複数残っている勝負の年。関東大会予選では準々決勝で帝京に0-1で屈しましたが、今大会は一次トーナメントで都立葛飾野を5-0、二次トーナメント初戦で都立立川を7-0と大差で退けて2回戦へ。「去年以上に点を取って、インハイでも全国に自分が導けたらと思います」と意気込むのは窪田。さらに先へと繋げるための大事な80分間に挑みます。清瀬の上空からはポツポツと雨粒も。楽しみな一戦は10時ジャストにキックオフを迎えました。


双方がやや慎重に立ち上がる展開の中、先に決定的なシーンを創ったのは成立。12分に左サイドで大野秀和(3年・FCゼブラ)が粘って残し、吉長真優(2年・FC府中)がエリア内から放ったシュートはGKを破るも、東大和南のセンターバックを任された八谷優太(3年・FC.GONA)がヘディングでスーパークリア。13分にも八木橋俊介(3年・青森山田中)の縦パスを窪田が落とすと、高木健匠(3年・横浜F・マリノスJY)のシュートは枠を越えましたが、照山も「入りは結構自分たちのペースだった」と話したように、まずは成立が手数を繰り出します。
16分は東大和南にファーストシュート。左サイドでボールを受けた岩瀬優太(2年・AZ'86東京青梅)が、カットインしながら枠へ収めたシュートは、成立のGK大野来生(2年・伊勢ソシエタ)がきっちりセーブ。直後の左CKを岩瀬が蹴り込み、木瀬瑛(2年・八王子椚田中)が競り勝って生まれた混戦も、シュートには至らなかったものの、中盤の宮崎亘弥(3年・町田JFC)、岩瀬、渡辺幹太(3年・POMBA立川FC)のトライアングルを中心に、少しずつ東大和南にも攻撃のリズムが。
ところが、18分は成立の決定機。吉長のスルーパスに、スピードスターの窪田が完全に抜け出すも、ここは果敢に飛び出した東大和南のGK磐井雄真(3年・FC.GONA)が窪田のシュートをビッグセーブでストップ。19分にも素晴らしいパスワークから、高木のラストパスに窪田が飛び出し、GKをかわしに行ったものの、素早く安達智哉(3年・西東京田無第四中)、井出弦洋(2年・FC.VIDA)、八谷、濱海人(3年・昭島清泉中)と4バック全員がエリア内まで帰り、窪田もシュートを打ち切れず。先制とは行きません。
21分も成立。左から窪田が右足で上げたクロスを、トラップで止めた吉長のシュートはヒットせず。30分も成立。左サイドバックを務める原豪汰(3年・三菱養和調布JY)のスローインから、高木のカットインシュートは枠の左へ。32分は東大和南。GKの位置を見ながら、高橋直哉(2年・POMBA立川FC)がトライした40mミドルは枠の左へ。33分は再び成立。左サイドを運んだ窪田がGKを外して中へ送るも、八木橋のシュートは無人のゴールの右外へ逸れ、37分に原が打ったミドルもゴール左へ。「決め切る所で決め切れなかったですね」とは照山。前半の40分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。


後半のファーストチャンスはいきなりの決定機。成立が42分に獲得した左CK。レフティの原がストレートボールを蹴り込むと、高い打点で頭に当てた西尾将吾(3年・グラマードNFC)のシュートはゴールに向かうも、カバーに入ったDFがライン上で必死に掻き出します。この日2度目のスーパークリアには、場内からもどよめきが。東大和南の続く高い集中力。
47分の主役は「去年は点を決めればいいだけだったんですけど、今年はチームを引っ張りながらちゃんと点を取りたい」と言い切るナンバー10。右サイドに開いた大野秀和が中へ戻すと、ハーフスペースに潜った窪田は「キーパーが結構前に出てきていたので、思い切り振り抜きました」と右足一閃。地を這うボールはゴールネットへ豪快に突き刺さります。まさに"3度目の正直"で結果を出した窪田のゴラッソ。成立が先にスコアを動かしました。
追い掛ける展開となった東大和南は、48分に1人目の交替。井出に替えて、岡本健吾(3年・青梅第二中)をボランチへ送り込み、宮崎は1列下がってセンターバックへ。52分は成立。吉長の左クロスを八木橋が落とし、大野秀和が打ったシュートはゴール右へ。55分も成立。左CKのこぼれをキッカーだった原は再びクロスに変え、ニアに入った八木橋のシュートは枠の上へ。56分も成立。豊田優磨(2年・成立ゼブラFC)のオーバーラップから得た右CKを原がファーまで届け、吉長のボレーは左サイドネットの外側に。60分も成立の得点機。エリア内で粘り強くキープした窪田の枠内シュートは、磐井がファインセーブで応酬。1点差のまま、後半も半分の時間が過ぎ去ります。
62分に東大和南は2人目の交替を決断。渡辺を下げて、横川巽(2年・AZ'86東京青梅)をピッチへ解き放ち、打ち出したいアタックへの意欲。直後の62分には岩瀬のFKに木瀬が頭で競り勝つも、走った山口陽大(3年・FC府中)はわずかに届かず、大野来生にキャッチされましたが、後半のファーストチャンスに滲ませる同点への強い想い。
それでも次に歓喜の瞬間を迎えたのはゼブラ軍団。64分に「足元にも結構自信があります」という照山が好フィードを右のハイサイドに送り込むと、走った高木はそのまま加速しながら中央へラストパス。突っ込んだ吉長のシュートは確実にゴールネットを揺らします。「後半は前から行けて、自分たちのゲームができたんじゃないかなと思います」と話した照山を起点に、2年生アタッカーが見事に結果を。成立のリードは2点に変わりました。
一気に動き出したゲーム。65分は東大和南。横川の仕掛けで得た左CKを岩瀬が入れるも、照山がきっちりクリア。66分は成立。右サイドを切り裂いた高木のシュートは、右のポストにハードヒット。直後の66分も成立。原の左CKはファーに流れ、西尾の右クロスに合わせた吉長のバイシクルは枠の右へ逸れるも、ダイナミックな好トライ。67分は東大和南。左サイドバックの濱が懸命に運び、折り返したボールを高橋はダイレクトで枠へ収めるも、大野来生が丁寧にキャッチ。69分は成立に追加点のチャンス。原の右CKが中央にこぼれると、照山は自ら「アイデアは良かったと思います」というGKを外したループを選択しましたが、カバーに入ったDFはここもライン上でスーパークリア。点差を広げさせません。
残された時間は10分間。差し掛かった最終盤も攻勢は成立。70分に八木橋とのワンツーで抜け出した吉長のシュートは、わずかに枠の右へ外れてドッピエッタならず。74分は東大和南に3人目の交替。山口と四条雄介(2年・AZ'86東京青梅)を入れ替え、前線には安達も上げて4トップ気味で最後の勝負へ。75分は成立。大野秀和が右へ流し、八木橋のループはわずかに枠の左へ外れると、直後に高木と三上昂佑(3年・成立ゼブラFC)を、76分に吉長と工藤星輝(2年・成立ゼブラFC)を相次いでスイッチ。バランスを整え続ける原田歩夢(3年・成立ゼブラFC)を軸に、中盤の強度をアップさせつつ、取り掛かるゲームクローズ。
10番が見せた"2点目"への執念。79分に左サイドを突破した窪田は、そのままシュートまで持ち込むも、八谷が体でブロック。その左CKを原が蹴り入れると、窪田のヘディングはクロスバーの上へ。80+1分は東大和南にCKのチャンス。184センチの磐井もエリア内まで上がったものの、岩瀬が右から蹴ったボールはクリアされ、一転して成立のカウンターに。少し持ち出して遠めから狙った窪田のシュートは、全力で戻った磐井がヘディングで掻き出し、さらなるゴールは生まれませんでしたが、ファイナルスコアは0-2。「今日も勝ち切れたので、関東大会の頃よりはチーム状況も良くなっていると思います」と窪田も口にした成立が、関東第一の待つ準々決勝へと勝ち上がる結果となりました。


成立は関東大会予選も含め、今シーズンのトーナメントコンペティションでは、6試合を戦ってわずか1失点という抜群の堅守を誇っており、キャプテンの照山も「いつも自分たちのやっていることができたので、今日は問題なかったんじゃないかなと思います。前からも行けていたし、空中戦も勝っていたので、結構手応えはあります」と守備面の自信を口に。そこが計算できるだけに、あとはエースの窪田が爆発するタイミングを待っている所でしょうか。次に対峙する関東第一は、4月末のT1リーグで勝利を収めたものの、昨年度の選手権予選ファイナルで敗れた相手でもあり、「去年の選手権は悔しい想いをしたので、来週はちゃんと勝ちたいなと思います」と窪田が話せば、照山も「もう自分たちのサッカーを突き通して絶対勝ちます」ときっぱり。注目のクォーターファイナルは17日。今日と同じ東久留米総合高校グラウンドがその舞台です。    土屋

関東大学1部前期第9節 東京国際大×東洋大@味スタ西

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0609ajista.JPG10位の東京国際大と11位の東洋大が激突する「本当の大一番」(東洋大・古川毅監督)。浮上の足掛かりを掴みたい両チームの対戦は味の素スタジアム西競技場です。
昨シーズンはリーグ戦で6位に入り、インカレでもベスト4まで進出するなど、躍進の1年となった東京国際大。ただ、キャプテンの楠本卓海を筆頭に、5人のJリーガーを含む主力の大半が卒業した今シーズンのリーグ戦は、4節でようやく初勝利を挙げたものの、ここまでは2勝3分け3敗の10位。勝ち点3差ですぐ後ろに付けている今日の相手には、絶対に負けられない所です。
4年ぶりの1部復帰となった昨シーズンのリーグ戦では8位に食い込み、史上初の1部残留を成し遂げた東洋大。その中で後期の失速を教訓に、インカレ出場を1つの目標に置きながら臨んだ今シーズンは、リーグ開幕から6戦未勝利と苦しいスタート。とはいえ、混戦模様を呈しているリーグの中で、まだ巻き返しは十分可能。「自分たちはもう引き分けも負けもいらないので、勝ってもっと上位に食い込んでいく必要がある」と高橋宏季(4年・FC東京U-18)も言い切るように、勝ち点3だけを目指してこの90分間に向かいます。灼熱の調布は午前中にもかかわらず、既に気温は30度オーバー。厳しいコンディションの中、東国のキックオフでゲームはスタートしました。


ファーストシュートは東国。8分に右サイドから音泉翔眞(4年・関東第一)がクロスを上げ切り、こぼれに反応したボランチの荒木秀太(1年・セレッソ大阪U-18)が思い切って狙ったミドルは枠の右へ外れたものの、ルーキーが早くもアグレッシブな姿勢を。16分にも10番を背負う浅利航大(4年・水戸ホーリーホックユース)が左FKを蹴り込むと、飛び込んだ中村彰吾(4年・鹿島学園)はわずかに届きませんでしたが、まずは東国が前への圧力で上回ります。
ただ、東洋も「今年は10番として責任を持って、自分からどんどんチャンスを創っていかないといけないと思います」と話す坂元達裕(4年・前橋育英)にボールが収まり出すと、少しずつ攻撃にリズムが。19分には高橋の縦パスに坂元がワンツーで呼応し、高橋のミドルは枠を越えましたが、"むさしコンビ"でファーストチャンスを。東国も21分には高橋和洋(4年・創価)の右ロングスローから、こぼれを叩いた浅利のミドルはDFに当たって枠を越え、その右CKを浅利が蹴り込むも、小木曽佑太(3年・浦和レッズユース)のヘディングはヒットせず。先制とは行きません。
すると、スコアを動かしたのは「得点やアシストというのはずっと自分の課題でもあったので、そういう数を増やしていけばチームの勝利に貢献できるというのは自分でもわかっていた」と語る東洋の司令塔。32分に「キックフェイントが前から得意な形」という坂元が、そのキックフェイントで時間を創ると、松崎快(3年・大宮アルディージャユース)は丁寧なスルーパス。「チャンスだと思ったら出て行くというのは、自分の中でもあった」という高橋はGKとの1対1も冷静に制し、ゴールネットへボールを送り届けます。「あまり決めたことがなくて、喜び方がわからなかった」と笑った高橋の先制弾に、古川監督も「今では本当に替えの利かない選手になっていると思います」と高評価を。東洋が1点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。


後半のファーストシュートも東国。49分にキャプテンマークを巻く石田勇大(4年・水戸啓明)が、ミドルレンジから枠の右へ外れるシュートを放つと、次に生まれた得点は"追加点"。53分に東洋が左サイドで獲得したFK。スポットに立った高橋が球足の長いボールを放り込み、ファーに入った浦上仁騎(4年・大宮アルディージャユース)が高い打点で打ち下ろしたヘディングは、左スミのゴールネットへ飛び込みます。「仁騎からファーにボールをくれと言われていたので、自分の思い通りのボールが蹴れました」と笑った高橋はこれで1ゴール1アシスト。点差は2点に広がりました。
小さくないビハインドを背負った東国の反撃はすぐさま。55分に得たFKはやや左寄り、ゴールまで約25m強の悪くない位置。10番の浅利が短い助走から蹴り込んだキックは、左スミギリギリを捉え、東洋のGK松本健太(3年・柏レイソルU-18)も触ってはいたものの、ゴールネットへ到達。「せっかく2点目をセットプレーで取れたのに、ものの1分2分でやられてしまうと、怪しい雰囲気になるような感じですよね」とは古川監督。スコアは再び1点差に縮まります。
先にベンチが動いたのは東国。得点直前のタイミングで左サイドハーフの池添勘太郎(4年・山梨学院大学附属)に替えて、宇高魁人(2年・長崎総科大学附属)をピッチへ送り込み、着手する縦への推進力アップ。56分は東洋に決定機。ディフェンスラインの裏へ巧みに抜け出した坂元は1対1からシュートまで持ち込むも、ここは東国のGK神林健太(4年・アルビレックス新潟U-18)がファインセーブで回避。62分は東国にチャンス。左サイドでルーズボールを収めた浅利がミドルを枠へ飛ばすも、松本もファインセーブで応酬。やり合う両者。ヒートアップは両応援団。
古川監督も62分に1人目の交替を。レフティのボランチ坪川潤之(3年・矢板中央)を下げて、ルーキーの桝谷岳良(1年・川崎フロンターレU-18)を投入し、中盤の強度向上を。65分は東国。菅野佑哉(3年・明秀日立)が蹴り込んだ右FKに、エースの町田ブライト(4年・成立学園)がドンピシャヘッドで合わせるも、副審のフラッグが上がり、オフサイドの判定。69分も東国。左サイドに開いた浅利がハーフボレーで打ち切ったシュートは、再び松本がファインセーブで仁王立ちも、「押し込まれる展開と苦しい時間が続きましたね」と口にしたのは坂元。72分には東国も2枚目の交替として、音泉と室井佑斗(4年・鹿島学園)をスイッチ。耐える東洋。押し切りたい東国。
75分は東国。浅利の左FKは、松本が大きくパンチング。その左CKを菅野が入れるも、松崎が懸命にクリア。77分も東国。浅利の左FKから、こぼれを宇高が狙うも、飯澤良介(1年・横浜FCユース)が体を投げ出す決死のブロック。79分も東国。高橋和洋の右ロングスローは、土田直輝(2年・大宮アルディージャユース)が大きくクリア。直後も東国。ここも高橋和洋の右ロングスローから、荒木が放ったボレーはゴール右へ。右から坂本涼斗(2年・柏レイソルU-18)、浦上、土田、渡辺星夢(4年・前橋育英)で組む東洋4バックの途切れない集中力。
東洋は81分に2人目の交替。ここもルーキーの神山京右(1年・横浜FCユース)を投入し、取り掛かる攻守のオーガナイズの再構築。東国も83分に3人目の交替。奮闘した浅利に替えて、柳園良太(4年・西武台)をピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。84分は東国。宇高が左へ振り分け、町田の折り返しから荒木が狙ったミドルは枠の右へ。いよいよゲームは残り5分とアディショナルタイムのみ。
輝きを放ったのは「自分は今までずっと出ていたのに1点しか取っていなくて、全く何もやっていなかったので、何としてでも自分が得点に絡んで仕事したい、という想いがずっとあった」ナンバー10。87分に浦上のFKで右サイドへ飛び出した坂元は、「結構コースもなくて、自分も正直『入らないかな』ぐらいの感じだったんですけど、その前の1対1を外した場面で、メッチャ狙って豪快に外しちゃったので、『今度は外しても良いから思い切り蹴ろう』という想いで」、利き足とは逆の右足を振り切ると、ボールはニアサイドを抜けてゴールネットへ突き刺さります。古川監督も「あそこで生き返ったような感じはありました」と認めたエースの追加点。試合の大勢は決します。
貪欲なストライカーの再アピールは90+2分。替わったばかりの丹代藍人(4年・青森山田)が浮かせたパスを出し、収めた坂元はここも躊躇なく右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「意外とああいうのは多くて、去年も右足で半分くらい決めているので、こぼれ球のシュートとかは意外と左より上手いかもしれないです」と笑ったレフティは右足でドッペルパック。ファイナルスコアは1-4。「今日は内容どうこうというよりは、次に繋げないといけないゲームだったので、繋がってくれてとりあえずはホッとしています」と古川監督が安堵の表情を浮かべた東洋が、今シーズンのリーグ戦2勝目を手にする結果となりました。


この日の主役と言っていい活躍を見せた坂元と高橋は、FC東京U-15むさし時代の同級生。高校時代はU-18へ昇格した高橋も、前橋育英へと進学した坂元も、共に東洋での最終学年を迎える訳ですが、お互いに確かな成長の跡が窺えました。例えば坂元は「高校の時は体の強さとか、正直自分には必要ないかなと思っていて、体の使い方や素早さで、相手に当たらなければやっていけるという想いはあったんですけど、大学に入って自分の身軽さだけじゃやっていけないなと早々に気付かされて、そこから筋トレだったり、トレーニングというのをやることになって、背負う場面も自分が務めるようになりました」と。例えば高橋は「中盤は何でもできないといけないと思っていますし、上に行くためにも球際やセカンドは絶対欠かせない所だと思うので、体づくりもそうですけど、予測や頭の中での考えも変わりました。大学はどこのチームも球際や体は凄く強い部分があって、そういう経験をしていく中で、もっと強くならなきゃいけないと思ったので、自分の中でも気付かされることが多かったですね」と。2人が共通して伸ばしてきたのは『力強さ』や『粘り強さ』。もともと技術の高さは十分持ち合わせていただけに、プラスされた部分を見せてくれたこの日の活躍は、両者の今後に大きく期待したくなるようなそれでした。坂元達裕と高橋宏季。この"むさしコンビ"、まだまだこれからもやってくれそうです。        土屋

クラ選関東予選2回戦 浦和ユース×東京武蔵野シティFC U-18@小平

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0526kodaira.JPG昨年もこのステージで全国を懸けて対峙した両者が、再び相まみえる注目の一戦。浦和レッズユースと東京武蔵野シティFC U-18のクラ選関東予選2回戦は、おなじみ小平グラウンドです。
Jリーグの"アイコン"的な存在として、一躍有名になった大槻毅監督のトップチームへの"異動"を受け、難しい形で2018年度のシーズンを迎えることになった浦和レッズユース。「今は目の前に来るゲームだけを追っている状況」と上野優作新監督も認める中で、それでもチームはプレミアEASTで2勝2分け1敗の5位に付けており、今大会の予選でも初戦でエスペランサを4-0で下して、夏の全国出場へリーチを。「練習からみんな声を掛け合ってできますし、オフの場面でも仲が良いので、団結して戦うというのは今年のチームの良さかなと思います」と話すのは10番を背負う池高暢希(3年・SSS札幌)。ここからのチームビルドを考えても、確実に群馬への切符を獲得しておきたい90分間へ向かいます。
都内では常に小さくない存在感を発揮し、T1リーグでも上位進出の常連として、そのアグレッシブなスタイルで見る者を楽しませてくれている東京武蔵野シティFC U-18。ただ、このクラ選に限って言えば、全国へと駒を進めたのは6年前が今の所は最後。「サンフレッチェの松本大弥からLINEでずっと、アイツもまだ全国を決めていないんですけど、『待ってるからな』ってずっと言われ続けているので、絶対全国に出たいです」と意気込むのは最前線にそびえ立つ高橋理人(3年・横河武蔵野FC JY)。昨年は0-3で敗れた相手にリベンジを果たし、全国出場を手繰り寄せたい所です。会場となった小平のスタンドには少なくない観衆が集結。楽しみなゲームは武蔵野のキックオフでスタートしました。


開始わずか15秒の衝撃。武蔵野はキックオフのボールを小川開世(3年・横河武蔵野FC JY)、寺本剛瑠(3年・横河武蔵野FC JY)と繋ぐと、西川陸斗(3年・Forza'02)は右足一閃。強烈なシュートはクロスバーに当たって跳ね返りますが、「言わずともモチベーションは上がっていたと思うので、入りは『もしかしたらワンチャンスあるかな』と思っていた」とは杉浦史浩監督。いきなり武蔵野が決定的なシーンを創出します。
2分には浦和も池高の右FKから、大城蛍(3年・Wウイング沖縄FC)がヘディングをゴール右へ外しましたが、7分は再び武蔵野。相手のバックパスの乱れから右CKを獲得すると、レフティの藤岡聡志(3年・横河武蔵野FC JY)が蹴ったボールに、飛び込んだ牧野晋作(3年・三鷹F.A.)のヘディングは枠の上へ。11分にここも藤岡が入れた右FKはオフサイドを取られたものの、「去年はリトリートしたんですけど、今年は自分たちで主導権を持ってやるということで、ちょっと驚かせられたかなと思います」と高橋も言及した武蔵野が引き寄せるゲームリズム。
「去年は5-4-1でしっかり守ってきて、『今年はどう出てくるかな』と思って、一応2種類の戦い方を用意していたんですけど、結構相手が来たから「わあ。来た!」って。最初ちょっとバタバタしましたね」と上野監督も認めた浦和は、なかなかペースが掴めない中でも、20分を過ぎると少しずつ落ち着きが。21分に大桃伶音(3年・浦和レッズJY)と林海斗(3年・浦和レッズJY)の連係で得た左CKを池高が蹴り込み、ここは牧野にクリアされるも、26分には右サイドバックの白土大貴(3年・浦和レッズJY)を起点に、清宮昂大(3年・坂戸ディプロマッツ)がクロスまで持ち込み、山中惇希(2年・GRANDE FC)のシュートはヒットせず、武蔵野のGK渥美拓也(3年・横河武蔵野FC JY)にキャッチされるも、出てきた手数。
29分も浦和。フォワードに入った波田祥太(2年・坂戸ディプロマッツ)、池高とボールが回り、山中のミドルは枠を越えたものの、積極的なフィニッシュを。31分にも左サイドバックの林が丁寧なクロスを放り込み、こぼれに反応した清宮のシュートは渥美にフィスティングで回避されますが、盛嘉伊人(1年・浦和レッズJY)と玉城大志(2年・浦和レッズJY)のドイスボランチもボールを引き出す回数が増加し、ようやく浦和が打ち出す攻撃のテンポ。
35分は武蔵野。藤岡が左から上げたアーリークロスを高橋が頭で落とすも、寺本はバイシクルを打ち切れず。38分も武蔵野。ドイスボランチの一角を務める山登一弥(3年・FC東京U-15むさし)が粘って残し、小川の左足ミドルはクロスバーの上へ。39分も武蔵野。右ウイングバックの大場小次郎(3年・横河武蔵野FC JY)を起点に、山登のパスから西川が抜け出すと、切り返しで相手をかわし掛けながら、スリップしてシュートには至らなかったものの、ここに来て武蔵野の圧力が再び高まります。
40分も武蔵野。山登が右へ振り分け、カットインしながら中に潜った寺本の左足シュートは、浦和のGK石井僚(3年・上州FC高崎)が丁寧にキャッチ。42分は浦和にセットプレーから決定機。「大城と大桃と強い選手はいっぱいいて、セットプレーには自信があります」と語る池高の左CKを山中が頭で合わせるも、枠に飛んだボールは左のゴールポストを直撃。「前半はサイドでうまく良い場面を作れなかったし、なかなか自分のボールタッチの回数も増えなくて、チャンスを創れなかった」(池高)「内容的にも五分五分に近くて、ボールを持たせていても自分たちは守備でも主導権を握りながらやれていた」(高橋)。長澤シバタファリ(2年・東京武蔵野シティFC U-15)、牧野、島田陸大(3年・横河武蔵野FC JY)で組んだ3バックも安定感を見せる武蔵野が、攻守にペースを握りつつ推移した前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


後半最初の決定的なチャンスは武蔵野に。50分。高い位置で相手の連係ミスを突いた高橋は、エリア右から「ダイレクトで打ってほしいというボールを」中央へ。受けた寺本が切り返して放ったシュートは、大桃が体を残してきっちりブロック。「普段なら逆を取れて決められたものが、1個粘られて体に当てられてとか、もしかしたら本当に小さい所ですけど、それがT1とプレミアの差だったりもするかもしれないですね」とは杉浦監督。先制とは行きません。
51分に盛が蹴ったFKが渥美にパンチングで掻き出されると、56分に上野監督は1人目の交替を決断。清宮を下げて、冨田蓮(2年・浦和レッズJY)を右サイドハーフに送り込み、「一番クオリティは高いので、彼を最終的にはあそこに持っていきたいなというのはありました」と池高を中央にスライドさせる勝負の一手を。57分に大城が投げた右ロングスローはDFのクリアに遭い、58分にも玉城が左へ展開したボールを、林がアーリーで流し込み、大城のヘディングは枠の上へ消えるも、「『間で受けろ』という指示は出ていたので、そこでターンできたら自分の良さが出るかなと思っていた」という池高に託すアタックのスイッチ。
63分は武蔵野。小川のパスを受け、西川が狙ったミドルは石井がキャッチ。68分は浦和に2人目の交替。山中と北村龍馬(3年・浦和レッズJY)を入れ替え、北村は左サイドバックに、林は左サイドハーフに1列上がり、着手するサイドの強度向上。72分は浦和。玉城が縦パスを入れ、うまくギャップに潜った池高は前を向いてシュートを放つも、ボールはDFに当たって枠の右へ。その右CKを盛が入れると、大桃のヘディングはクロスバーの上へ。73分も浦和。右サイドで池高が果敢に仕掛け、エリア内から冨田が打ったシュートのこぼれ球は渥美が懸命にキャッチ。「後半は池高を中に入れて、ちょっと動かしながらみたいなプラン」(上野監督)が効き出し、流れは徐々に浦和へ。
武蔵野も78分に1人目の交替。最前線で奮闘した高橋に替えて、花村勇太朗(3年・VERDY S.S.AJUNT)がそのままの位置へ投入されると、直後に藤岡が蹴り込んだ右CKは石井がキャッチ。80分にも寺本が右から中に付け、入ったばかりの花村が積極的に打ち切ったシュートは、DFをかすめてゴール右へ。好勝負に残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。
とうとう動いたスコア。武蔵野のCKから浦和が逆にカウンターを繰り出し、大場が決死のブロックで失点を防いだ直後の81分。左CKのスポットに立った池高は「キックの調子も悪くなかったので、とりあえず真ん中あたりに落とせればいいかなと思って」右足で中央に蹴り込むと、突っ込んだ北村がヘディングで叩いたボールは中央の密集をすり抜け、ゴールネットへ吸い込まれます。「アイツはセットプレーに強いから先発かどうか迷っていたんですけど、後半途中から行くことにしました」という上野監督の采配ズバリ。「キックがどうこうと言うより、ヘディングが上手かったと思います」と池高も笑った北村の先制弾。浦和が1点のリードを手にしました。
終盤で1点を追い掛けることになった武蔵野は、84分に2人目の交替。大場と原川昂大(2年・東京武蔵野シティFC U-15)をスイッチして、ゴールを奪う意識を前面に。それでも、セットプレーからのチャンスは浦和に。86分に池高の右CKを、ニアで合わせた林のヘディングはゴール左へ。87分にも盛の左FKはファーまで届き、北村のヘディングは枠の左へ外れるも、着実に潰す時間とあわよくば狙いたい追加点への意欲が。
90+1分は武蔵野。藤岡の右FKはファーに流れ、拾った山登のクロスはDFが大きくクリア。90+2分も武蔵野。寺本が左から蹴ったCKも、DFが確実にクリア。そして、最終盤の90+3分も武蔵野。右サイドに開いた寺本がクロスを上げ切るも、飛び込んだ牧野は届かず、これがこのゲームのラストチャンス。最後は石橋遼大(2年・浦和レッズJY)と柳田大輝(3年・浦和レッズJY)を相次いで投入し、ゲームクローズにも成功した浦和に軍配。「今までずっと大事な試合ばっかり続いてきたので、本当にホッとしました」と上野監督も安堵の表情を浮かべた"赤き宝石たち"が、全国切符を堂々と勝ち獲る結果となりました。


「今日はサポートに来ているのはみんな3年生なので、高校サッカーだからそういう団結力とかも大事にしています。全国が決まると彼らの進学とかもだいぶ変わってくるので、何とかみんなを良い形で送り出すためには、この出場権が必要だから、そういう意味で偉大な勝利です」と試合後に語った上野監督。池高も「メンバーには入れなかった3年生もいたんですけど、凄くサポートしてくれて、自分も『点が決まったら彼らの所に行こう』と思っていたので、行けて良かったです」と笑顔。決勝ゴールの直後に咲いた歓喜の赤い花は、チームの一体感がよくわかる光景だった気がします。浦和ユース。良いチームですね。
「正々堂々胸を張って90分間やり切ったと選手たちにも伝えましたし、本当に悔しいですけど、しっかり受け身に回ることなく、がっぷり四つでできたかなとは思います」と杉浦監督もゲームを振り返った武蔵野は、好ゲームを演じただけに悔しい結果を突き付けられる格好に。「今日はこの環境で、ホームグラウンドとは違う所でいろいろな人たちが見に来てくれているのも知っていたし、『いろいろな人の想いを乗せて戦おう』と今日試合に臨んだ中で、それに応えられなかった悔しさはありますね。それは選手たちが一番感じていると思います」と、指揮官もその悔しさを隠しませんでした。ただ、「みんなも言っていたんですけど、思った以上に戦えたし、凄い自信になったと思います」という高橋の言葉はおそらくチームの共通認識。次の東京ヴェルディユース戦も激戦必至です。       土屋

インターハイ東京1回戦 修徳×堀越@駒沢補助

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0526komazawa1.JPG東京を代表する名門が初戦でいきなり激突。9度の全国出場を誇る修徳と、4度の全国出場経験を有する堀越の対峙は駒沢補助競技場です。
関東大会予選は結果的にファイナルまで躍進した駿台学園に、初戦で0-4とまさかの大敗を喫し、インターハイは支部予選からの登場を強いられることに。それでも今大会は、その支部予選を4-0と7-0で抜け出すと、一次トーナメントも成城を7-0、関東大会予選で躍進した大森学園にも7-2と大勝を収め、二次トーナメントへと勝ち上がってきた修徳。「入学してから二次トーナメントは来たことがなかったので初めてなんです」と明かすのは横須賀郁哉(3年・バリエンテオンセFC)。6年ぶりとなる夏の全国を視野に捉えつつ、まずは大事は初戦に向かいます。
こちらも関東大会予選は初戦で大森学園に1-3と敗れ、T2リーグでも3連敗スタートと悔しいシーズンの立ち上がりとなった堀越。ただ、雪辱を期すインターハイ予選は、まず2試合15得点という結果で支部予選を勝ち抜き、一次トーナメントでも都立野津田に9ゴールを浴びせ、9-2で大勝すると、拓大一にも2-0で競り勝って二次トーナメントまで。ユニフォームも一新して挑むこのゲームは、今シーズンのチームにとっても大事な80分間です。会場の駒沢補助は両チームの応援団も含め、かなりの大入り。修徳のキックオフで注目の一戦はスタートしました。


ファーストチャンスは1分の修徳。左からサイドバックの伊東紀行(3年・アーセナルSS市川)がロングスローを放り込むと、ここは堀越の左サイドバックに入った井原祐貴(3年・田口FA)がクリアしましたが、まずはセットプレーで相手ゴール前へ。4分には刑部泰生(3年・アミーゴFC)とのワンツーで、右サイドを崩した松林空(3年・船橋宮本中)のクロスに、ファーで村山大翔(3年・両国FC)が合わせたヘディングは枠の右へ外れるも、流れの中からもフィニッシュを。7分にも内沢海大(2年・SKオンゼFC)の右FKから、こぼれを叩いた伊東のミドルはゴール右へ逸れたものの、修徳が続けて手数を繰り出します。
ただ、10番を背負う古澤柊磨(3年・S.T.FC)がコネクターとして上手くボールを受けつつ、堀越にも少しずつボールを動かすリズムが。10分には昨シーズンからレギュラーを務める米田悠哉(3年・JACPA東京FC)が右CKを蹴り込むと、ワントラップから友野謙信(3年・北区赤羽岩淵中)が放った決定的なシュートはクロスバーを越えてしまいますが、挽回のチャンスは16分。再び米田が蹴ったCKに、力強く合わせたのはまたも友野。ボールはゴール右スミへ飛び込みます。2度目のチャンスはきっちり成果に。堀越が先にスコアを動かしました。
さて、追い掛ける展開となった修徳ですが、「セットプレーは今年強いんだよ」と岩本慎二郎監督も認める、そのリスタートからチャンスを。18分に伊東のロングスローから、こぼれを打ち切った石崎皓大(3年・柏ラッセルFC)のシュートはクロスバーを越えるも好トライ。20分に内沢が入れた右FKはDFのクリアに遭ったものの、22分に今度は左サイドでFKを獲得すると、キッカーの内沢はピンポイントで中へ。ここへ突っ込んだ横須賀のヘディングが揺らしたゴールネット。「ああいう形は練習していたので、うまく練習通りに行った感じです」と笑うセンターバックの同点弾。両者の点差は霧散します。
続けてのチャンスは修徳。25分に左サイドで獲得したCKを内沢が蹴るも、跳ね返した堀越はここからカウンター発動。武川光軌(3年・AZ'86東京青梅)が右へ流すと、全速力で飛び出した右サイドバックの滝田孟弘(3年・JFC FUTURO)は、そのまま自らドリブルでグングン運びながら右足一閃。ボールはゴール左スミへ鮮やかに飛び込みます。パーフェクトなカウンターの完結は22番の一撃で。またも堀越が1点のリードを手にしました。
再びビハインドを負った修徳は、30分に絶好の同点機。伊東の左FKはフリーの松林の前にこぼれるも、シュートは枠を越えてしまい、頭を抱えるピッチとベンチ。32分は堀越。左寄り、ゴールまで約25mの位置から米田が蹴ったFKはクロスバーの上へ。38分は修徳。ゴールまで25m強の距離で得た左FKを、内沢が直接狙うも枠の上へ。40+1分も修徳。伊東の左ロングスローは友野が跳ね返し、1年生センターバックの高橋港斗(1年・柏レイソルU-15)が叩いたミドルはゴール右へ。「前半は正直相手のペースに飲まれて、自分たちの良さがあまり出せなかったと思います」とは松林。堀越が1点のアドバンテージを握って、最初の40分間は終了しました。


ハーフタイムにいつも以上の喝を入れていた岩本監督は、後半スタートからの交替を決断。前半早々に負傷しながら、ピッチに戻っていた期待のルーキー大森博(1年・修徳中)を諦め、「守備の所では頼りになるからね」という辻秀馬(2年・SKオンゼFC)をそのままボランチへ送り込み、狙う同点とその先。
後半最初のチャンスは堀越。42分に右から米田がFKを蹴り入れ、センターバックの伊藤優喜(3年・小山中)がこぼれに詰めるもオフサイドの判定。47分は修徳。右サイドバックの川島大輝(1年・ジョカーレFC)が左足でクロスを送り、ニアに松林が飛び込むも、堀越のGK宮崎拓真(3年・JACPA東京FC)が果敢にキャッチ。54分は修徳。左サイドの高い位置でボールを奪った村山が折り返し、刑部が走り込むも伊藤がきっちりタックルでクリア。魚崎由暉(2年・三菱養和調布JY)と伊藤で組む堀越のセンターバックコンビは、最後の局面で粘り強く体を張り続けます。
その流れからの左CK。内沢が蹴ったボールは宮崎がパンチングで回避するも、ゴールラインを割って逆側のCKへ。今度は右のアークから伊東が得意の左足を振るうと、ファーに突っ込んだ内沢のヘディングは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。時間は55分。「今年は『フリーキック、コーナーキックを取れれば、点が取れるんじゃないか』っていうのは、今までと違ってあるからね」と指揮官も自信を口にするコーナーキックからの一撃で、スコアは振り出しに引き戻されました。
一気呵成。57分に訪れた絶好の逆転機。修徳は右サイドでパスを繋いだ流れから、石崎がおしゃれなヒールフリックを繰り出すと、抜け出した松林はGKと1対1に。「キーパーを最後まで見て流し込みました」というシュートは、右スミのゴールネットへ確実に転がり込みます。ハーフタイムは名指しでの叱責を受け、「それで自分に喝が入って、後半は気合い入れました」という7番のゴールには、「もともと速いんだし、やる気になればいいんだよ」と岩本監督も笑顔で評価。修徳が3分間で逆転に成功します。
58分にも刑部のラストパスに反応し、松林がチャンスを迎えましたが、宮崎が飛び出してキャッチし、難を逃れた堀越はこのゲームで初めて1点を追う展開に。58分には古澤がスルーパスを送り、前半から存在感を見せていた三根碧斗(3年・あきる野東中)が、右へ流れながらシュート気味に上げたクロスは流れてファーへ。右の武川、左の水野洸(3年・田口FA)のサイドハーフに、1.5列目の古澤、最前線の三根と、ポイントはある程度創れる中で、フィニッシュが取り切れません。
65分は修徳。内沢の右FKから、こぼれを狙った松林のミドルは枠の上へ。69分は堀越。伊藤が決死のオーバーラップでCKを獲得すると、左から米田が入れたボールに伊藤が飛び付くも、修徳のGK下田響生(3年・順蹴FA)がきっちりキャッチ。71分も堀越。左から伊藤がクロスを上げ切り、武川を経由したボールは友野もシュートを打ち切れず。71分も堀越。左サイドをドリブルで運んだ水野は、そのままシュートまで持ち込むも、ここは下田が丁寧にセーブ。その左CKを米田が蹴り込むも、伊藤のヘディングは枠の右へ。伊藤が勝利への執念を前面に押し出すものの、なかなか届かないゴール。
修徳が取り掛かるゲームクローズ。72分には2人目の交替として、左サイドハーフの村山と栗崎豪流(3年・フレンドリー)をそのまま入れ替え、サイドの好守にテコ入れを図りつつ、78分には刑部と松本拓巳(2年・三郷JY)もスイッチして、逃げ切り態勢に。78分には相手のフィードを内沢がヘディングで跳ね返すと、松林が抜け出しましたが、ドリブルシュートは宮崎がファインセーブで応酬。1点差のままで、ゲームは2分が掲示されたアディショナルタイムへ。
80+1分に堀越へ到来したラストチャンス。右サイドで得たFK。スポットに立った米田は丁寧にボールを蹴り入れ、密集からこぼれたボールを井原は利き足の左でボレーで叩くと、水野がコースを変えた軌道は枠を捉えるも、何とか反応した下田のファインキャッチで万事休す。「『絶対負けられないな』というのはずっと思っていたので、本当に逆転できて良かったです」と横須賀も安堵の表情を浮かべた修徳に凱歌。2週間後に開催される2回戦へと駒を進める結果になりました。


「堀越もこの間より5割増くらいだったね。15番がやるのはわかっていたけど、10番と14番も良かった。この間の拓大の時はのらりくらりしてたんだけど、野津田の時に結構良かったから『イヤだな』と思ってたんだけど、前半はそれに押されちゃって。後半はある程度競り合いに勝てるようになってからは、こういうゲームになったけどね」と岩本監督も話したように、どちらが勝ってもおかしくない好ゲームは名門対決にふさわしい内容。見応え十分の80分間でした。ただ、勝ったのは修徳。今年のチームの特徴を「技術力がある中で、修徳の良さである運動量とか体を張ることとか球際とかも十分あると思います。チームワークも良いし、仲も良いので」と語った松林は、「合宿所にも"全国出場"っていう目標を今年から張って、気合いというか、目標を再確認できるような感じにしていて、『東京の古豪から強豪に』というのを今年はテーマにしています」ときっぱり。"強豪復活"へ。修徳の進撃はまだまだ続きます。      土屋

インターハイ東京一次トーナメントFブロック1回戦 東京朝鮮×駒場東邦@駒沢第2

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0512komazawa.JPG夏の三重へと続く重要なステップはこの5月中旬から。東京朝鮮と駒場東邦が対峙するインターハイの一次トーナメント初戦は駒沢第2球技場です。
昨シーズンも好チームを創り、選手権予選では準決勝まで進出。その西が丘でも関東第一と大熱戦を演じ、最後は延長戦で3-4と力尽きたものの、素晴らしいゲームを繰り広げた東京朝鮮。迎えた今シーズンの関東大会予選は、ベスト16で駒澤大学高に0-1で敗れ、既に開幕しているT2リーグはここまで2勝2敗のイーブンですが、「関東大会で負けた後に、3年みんなでミーティングして、絶対全国に行こうという意思統一ができました」とはユン・チス(3年・東京朝鮮中)。ここから5連勝での全国出場という目標は揺るぎません。
新人戦は地区大会で日本学園に1-2、インターハイ予選は支部予選で日大鶴ケ丘に0-1、都大会に進出した選手権予選はブロック1回戦で東亜学園に延長で敗れるなど、悪くないゲームを繰り広げながら、接戦で敗退する大会の続いた昨シーズンの駒場東邦。昨年中に立ち上がった新チームは、新人戦こそまたも地区予選で姿を消しましたが、今大会の支部予選は都立練馬と筑波大駒場を続けてPK戦で撃破すると、都立井草にも3-2で競り勝って、この一次トーナメントへ。『接戦で勝てるチーム』へのさらなる脱皮を目指し、大事な80分間に挑みます。会場の駒沢は今週も初夏を思わせるような25度近いコンディション。注目の一戦は東京朝鮮のキックオフでスタートしました。


いきなりのチャンスは2分の東京朝鮮。右からサイドバックのアン・ジュノ(2年・東京朝鮮中)がアーリークロスを放り込み、リ・チャンギ(3年・東京朝鮮中)のヘディングは枠を越えるも、早くも最初のフィニッシュまで。3分は左から、こちらもサイドバックのパク・チュンボム(3年・東京朝鮮中)がクロスを上げ切り、ここもリ・チャンギのボレーは枠の右へ外れましたが、両サイドから好機を創出します。
すると、スコアが動いたのは8分。センターバックのキム・チャンミョン(3年・埼玉朝鮮中)が縦に付けると、左サイドで受けたキム・スソン(2年・東京朝鮮中)は「練習中からやっていたサイドから中へ切り込むという形」で、カットインしながら丁寧にシュート。ボールは右スミのゴールネットへ飛び込みます。「うまくかわせたので、ファーを狙って蹴ったら決まったみたいな感じで、気持ち良かったです」と笑う2年生アタッカーの一撃。東京朝鮮が1点のリードを奪いました。
さて、ビハインドを背負う格好となった駒場東邦。8分には左サイドハーフに入った溝口一真(1年)のパスから、渡部颯太(2年・駒場東邦中)が狙ったミドルはクロスバーを越えましたが、ファーストシュートを。10分に東京朝鮮もリ・チャンギ、ユン・チスと繋いだボールから、キム・スソンがシュートを枠へ収めるも、駒場東邦のGK大久保燎(2年・駒場東邦中)がファインセーブで凌ぐと、11分は再び駒場東邦。山縣俊太郎(1年)を起点に杉山弘樹(2年・駒場東邦中)が右へ流し、走った砂山雄哉(2年・駒場東邦中)にはわずかに届かなかったものの、少しずつ出てきた攻撃の形。
それでも以降のペースは東京朝鮮。15分にユン・チスの右CKから、こぼれを拾ったキム・スソンのシュートは大久保がキャッチ。17分にもユン・チス、キム・スソンとパスを回し、プ・リョンス(3年・東京朝鮮第五中)が狙ったシュートは大久保が確実にキャッチ。23分にユン・チスが、25分にプ・リョンスが放ったシュートは共にゴール右へ外れると、32分には中盤アンカーを務めるチェ・テソン(3年・埼玉朝鮮中)のスルーパスにキム・スソンが抜け出すも、GKと1対1で打ったシュートは右ポストを直撃。「ボールは握れたんですけど、最後に相手を崩すという所ではちょっと工夫やアイデアが足りなかったですね」とは姜宗鎭監督。右から岡井日々樹(2年・駒場東邦中)、地頭所明洋(2年・駒場東邦中)、安藤裕基(1年)、吉村寿太郎(1年)と並んだ4バックを中心に、粘り強く対応する駒場東邦ディフェンス陣。
少し漂い出した嫌な流れを切り裂いたのは、「自分がチームを勝たせられる選手になりたい」と語るナンバーエイト。38分にミドルレンジでボールを引き出したユン・チスは、「うまくターンができて、それは得意なプレーだったので、あとは思いきり振り抜くだけでした」と右足一閃。ボールはゴールネットへ豪快に突き刺さります。「去年の選手権予選も最後は出た選手で、アイツには期待してるんです」と指揮官も言及したユン・チスのゴラッソ。東京朝鮮が2点をリードして、最初の40分間は終了しました。


「ちょっと前半が思ったよりうまくいっていなかったなというのがありまして、ハーフタイムで今日は僕よりもコーチ陣が喝を入れていました」と苦笑した姜監督。そのハーフタイムで決断したのは2枚替え。ハ・ジュノン(3年・東京朝鮮第一中)とプ・リョンスに替えて、リャン・ユンデ(2年・東京朝鮮第一中)とキム・サンテ(3年・千葉朝鮮中)を送り込み、選手も「自分たちで『もっと自分たちのサッカーをしよう』と」(キム・スソン)後半のピッチへ飛び出します。
"喝"の効果はすぐさま結果に。後半開始早々の41分。センターバックを務めるキャプテンのムン・ヒョンジョン(3年・埼玉朝鮮中)が、右に開いてクロスを上げると、入ったばかりのリャン・ユンデが放ったシュートは大久保がファインセーブで凌いだものの、こぼれを拾ったリャン・ユンデの折り返しに反応したのはキム・スソン。「結構外していたので、もう思いきり蹴ろうと思って」右足で打ち込んだシュートはゴールネットへ到達します。「今日は監督からも『結果を残せ』とずっと言われていました」という11番はこれでドッピエッタ。東京朝鮮のリードは3点に広がりました。
踏み込んだアクセル。43分は東京朝鮮。相手のミスを突いたリャン・ユンデのミドルは枠の右へ外れるも、積極的なチャレンジ。44分も東京朝鮮。リャン・ユンデ、リ・チャンギとパスを回し、キム・スソンのシュートは大久保がキャッチ。46分も東京朝鮮。パク・チュンボムのパスからリャン・ユンデが左サイドをえぐり、リ・チャンギのシュートは良く戻った駒場東邦の10番を背負う中島理希(2年・駒場東邦中)が体でブロック。直後の左CKをユン・チスが蹴ると、こぼれを叩いたチェ・テソンのミドルは枠の上に消えるも、「後半は入りが良くて、みんな気持ちが入ってできたと思います」というユン・チスの言葉通り、より活性化した東京朝鮮の攻撃陣。
51分にもユン・チスが右足で上げた左クロスは、DFに当たってクロスバーにぶつかると、駒場東邦は1人目の交替を決断。岡井を下げて、笠井雄士(1年)をそのまま右サイドバックへ送り込みますが、次の得点も東京朝鮮に。53分、左サイドでボールを奪ったリャン・ユンデはマイナスに折り返し、キム・スソンのシュートは安藤が体で必死にブロックしましたが、リ・チャンギがきっちりとこのボールをゴールネットへ押し込みます。ようやく9番のセンターフォワードにも生まれた1点。スコアは4-0に変わりました。
55分には東京朝鮮に3人目の交替。ゴールを記録したリ・チャンギとコ・ジャンオ(3年・埼玉朝鮮中)を入れ替え、アタッカー陣の顔触れに変化を加えると、57分にはキム・スソンが右へ流し、コ・ジャンオが中へ戻したパスに、ユン・チスはループを選択。ボールはクロスバーを越えましたが、右のコ・ジャンオ、左のリャン・ユンデと後半から切ったカードが躍動する東京朝鮮の止まらない勢い。
相次いで切られたカード。66分の東京朝鮮はアン・ジュノとカン・ジュンソン(2年・千葉朝鮮中)を、67分の駒場東邦は溝口と山田真弘(2年・駒場東邦中)をそれぞれスイッチして、図るサイドの推進力アップ。68分は東京朝鮮。右に開いたキム・スソンのクロスに、ダイレクトで合わせたリャン・ユンデのシュートは大久保がキャッチ。70分も東京朝鮮。ユン・チスとリャン・ユンデのパスワークから、キム・スソンが枠へ飛ばしたシュートは大久保がビッグセーブで応酬すると、直後には駒場東邦が3人目の交替として、砂山と村田大介(1年)をスイッチ。残りは10分間。差し掛かる最終盤の攻防。
71分は東京朝鮮。左サイドを切り裂いたリャン・ユンデのフィニッシュは、大久保がこの日6本目のファインセーブで仁王立ち。直後の71分も東京朝鮮。キム・スソン、パク・チュンボム、キム・サンテとスムーズにボールが動き、チェ・テソンのミドルは枠の上へ。73分は東京朝鮮に5人目の交替。2ゴールをマークしたキム・スソンを下げて、リ・サンリョン(3年・埼玉朝鮮中)が登場。74分は駒場東邦に4人目の交替。足を痛めながらピッチに立ち続けていたキャプテンの地頭所が下がり、渡部龍翔(2年・駒場東邦中)が左サイドバックへ送り込まれ、吉村がセンターバックへスライドします。
79分は東京朝鮮。カン・ジュンソンの仕掛けで獲得した右CKをコ・ジャンオが蹴り込み、ムン・ヒョンジョンが合わせたヘディングはクロスバーの上へ。80分は駒場東邦。ミドルレンジで前を向いたボランチの杉山が、そのまま左足で打ち切ったシュートが枠の左へ外れると、これがこのゲームのラストシュート。「後半の方が全然良いゲームができたと思います」とキム・スソンも話したように、攻勢を続けた東京朝鮮がきっちり勝利を収め、一次トーナメント決勝へと勝ち上がる結果となりました。


「11番の子は2年生なんですけど、チーム立ち上げの時から育てるというか、スタメンで結構使ってきた中で、最近全然結果を残していなかったんです。なので『ちょっと替えようかな』とは思ったんですけど、ケガ人もいろいろあったので、昨日は『明日がラストチャンスだ』ということは言いました」と明かした姜監督。そのことを問われたキム・スソンは「そうなんです」と肯定しながら、「もうがむしゃらに、もう結果だけ、ってずっと考えて、『自分で行こう』という気持ちでゲームに入りました」とのこと。崖っぷちでの2ゴールに「一応結果は残せたので良かったです。先輩からも『どんどん自分でやりたいことをやっていいから』と言われていて、そういう所で吹っ切れた部分もあります」とも語った2年生の活躍は、チームにとっても小さくない成果と言えるでしょう。昨シーズンからの主力を数枚欠く中で、リ・サンリョンやカン・ジュンソンのように地区トップリーグでのプレーが認められ、Aチーム入りを果たした選手も公式戦デビューを果たすなど、メンバー争いも確実に活性化の一途を。「口だけだったら周りが付いてこないのは当たり前なので、先頭に立ってみんなを連れていくような姿を見せられる、そういうキャプテンを目指しています」と言い切るムン・ヒョンジョンを中心に、まとまりが出てきつつある今シーズンの東京朝鮮も非常に楽しみです。       土屋

関東大会予選東京準決勝 帝京×駿台学園@駒沢第2

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0428komazawa2.JPG5年ぶりか、はたまた10年ぶりか。久々となる関東大会出場を懸けたセミファイナル。帝京と駿台学園の一戦は、引き続き駒沢第2球技場です。
近年の都内におけるトーナメントコンペティションでは、優勝にこそ一歩届いていないものの、再び上位進出の常連になってきている帝京。今大会も早稲田実業を1-0、都立東久留米総合を5-1で下すと、先週のクォーターファイナルでは成立学園相手に梅木遼(3年・ミラグロッソ海南)の1点を守り、"十条ダービー"を制して5年ぶりのベスト4進出。「今の帝京は雑草軍団でいいんですよ。走れるヤツ、戦えるヤツがピッチに立てば良い話で」とは日比威監督。春先のこの大会で確かな結果を残すことで、さらなる自信を手にしておきたい所です。
ブロックベスト8に入った昨シーズンの選手権予選は復活の兆し。迎えた今大会も修徳に4-0と大勝を収めると、T1所属の国士舘も3-1で撃破。さらに前半だけで3-3と撃ち合いの様相を呈した大森学園戦も、6-3というハイスコアでモノにして、10年ぶりに準決勝まで勝ち上がってきた駿台学園。「シーズン前に目標は立てていて、"大目標"としては都大会のベスト4ということなので、これで彼らは達成できたから引退かなと思ってますけど(笑)」と明るく笑うのは大森一仁監督ですが、もちろんここで進撃を止めるつもりは毛頭ありません。楽しみな80分間を見届けようと、駒沢第2のスタンドはかなりの大入り。セミファイナル第2試合は駿台のキックオフでスタートしました。


「入りは良かったんですけど、15分過ぎから怪しい対応が始まっちゃった」と大森監督が話したように、やや駿台ペースで進んだ立ち上がりを経て、徐々に帝京がゲームリズムを奪還する中で、スコアが動いたのは17分。GKの白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)のキックをDFがクリアすると、拾った赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)とボールが回り、赤井は右へラストパス。ここへ走り込んだ中村怜央(3年・FC東京U-15深川)のシュートは、左スミのゴールネットへ飛び込みます。先週のゲームではなかなかチャンスを生かせなかった中村の先制弾。帝京が1点をリードしました。
22分にも佐々木が左寄り、ゴールまで約25mの左FKを直接狙い、ボールは枠の右へ外れたものの、惜しいシーンを創出すると、直後には駿台学園にアクシデント。右サイドバックの小比類巻翔(3年)が負傷でゲーム続行が難しくなり、三澤崚太(2年)と交替。「ある程度やられるのは覚悟していたんですけど、ちょっといただけない失点だった」(大森監督)流れから、1人目の交替を想定外の形で強いられるなど、嫌な空気が漂い掛けます。
ところが、36分に訪れた歓喜の主役は「ちょこちょこしか出ていなかった2年生」(大森監督)。左サイドでCKを獲得すると、キッカーの布施谷翔(3年)はニアへ。GKが弾いたボールはファーへ流れ、ここに突っ込んだ三澤のヘディングはゴールネットへ到達します。「ずっとセットプレーでは取っていなかったので、『今日はセットプレーがカギだぞ』と言っていたんです。そこで取れたのは本当に大きかったかなと思います」とは大森監督。前半途中からピッチへ送り込まれた2年生右サイドバックが大仕事。駿台がスコアを振り出しに引き戻して、最初の40分間は終了しました。


後半のファーストチャンスは駿台。41分にGKの猪田光哉(3年)が得意のキックを蹴り込み、高根沢翔が繋いだボールから上原飛翔(3年)が狙ったシュートは、クロスバーの上に消えるも好トライ。45分にも布施谷が右にサイドを変え、上原がダイレクトで折り返すと、大野竜之(3年)のシュートは帝京のセンターバック萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)が体でブロックしたものの、「先週だけスタメンじゃなくて悔しかったので、『次の試合は絶対スタメンで出よう』と思って練習から意気込んでいました」という9番が1つフィニッシュを。
47分は帝京に決定機。梅木がドリブルで右サイドを運び、抜け出した入澤大(3年・FC東京U-15深川)のシュートは枠を捉えるも、左のゴールポストにヒット。50分は駿台にもセットプレーのチャンス。ドリブルで仕掛けた布施谷がマーカーに倒され、最初はPKを指示した主審が、副審と協議して訂正したFK。左サイド、エリアすぐ外のFKを布施谷が蹴ると、白鳥が懸命に伸ばした手に少し当たったボールはクロスバーにハードヒット。お互いにやり合った"あわや"。一段階上がったスタンドのボルテージ。
53分に動いたのは帝京ベンチ。梅木に替えて、中島涼太(3年・練馬石神井中)をそのまま右サイドハーフへ送り込み、狙う攻守のバランスアップ。54分には駿台にも2人目の交替。負傷した田中竣(3年)を下げて、鮫島貴士朗(2年)がセンターバックの位置へ。55分は駿台。左サイドで粘った布施谷のシュートは白鳥がキャッチしましたが、自らの特徴を「流れを持ってくる所」と言い切る布施谷の推進力もあって、徐々にペースは駿台へ。
63分は駿台。中盤で田中亮汰(3年)はダブルルーレットを成功させて右へ。三澤がダイレクトで打ち込んだクサビは、わずかに上原と合わなかったものの、狙いは上々。64分は帝京。中央で前を向いた10番の佐々木は、2人を外してシュートまで持ち込むも、駿台の左サイドバックに入った今大会初スタメンの渡邊駿介(3年)が体に当てて、猪田がキャッチ。このプレーで足の攣った渡邊は、中村海知(2年)との交替を余儀なくされ、これで最終ラインは3人が替わったことになりましたが、「コレもウチっぽいですよね」と大森監督。スタメンの4バックで唯一残った山崎亮(3年)を中心に、渡邊と同じく今大会初スタメンでボランチの一角を託された高橋竜太郎(3年)も粘り強い守備を続けるなど、集中力の続く駿台ディフェンス。
65分は帝京。右でサイドバックの塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)を起点に中島が仕掛け、最後は赤井がシュートを放つも、ボールは枠の右へ。66分も帝京。入澤が左へ展開し、受けた佐々木は右足でピンポイントクロスをファーへ。飛び込んだ中島のボレーはヒットしなかったものの、佐々木はさすがのチャンスメイク。72分は駿台。田中のフィードに上原が抜け出すも、GKにエリア外で倒されて得たFK。右寄り、ゴールまで20m強のポイントから布施谷が直接狙ったキックは枠の上へ。最終盤。残り時間は5分間とアディショナルタイムのみ。
75分の主役は「今日は大野で行こうと決めていた」と指揮官も言及した逆襲のストライカー。右サイドで三澤が縦に付けたボールを、走った上原はさらに運んで中央へ。エリア内で収めた大野は、「ずっと練習の時からキーパーの光哉と左足で打つという練習をしていて、それがちょうど同じ形で来たので」左に持ち出しながら左足一閃。ボールは右サイドのゴールネットへ吸い込まれます。「左足は振らない男なので、まさかあそこで振るとは思わなかったですけど」という大森監督に対し、「右足よりは左足の方が決めている確率は高いので。左足のシュートには自信があります」という大野の"食い違い"はご愛敬。終盤で駿台が逆転に成功しました。
追い込まれた帝京はラッシュ。77分には佐々木のパスから、司令塔の三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)が左へ流し、入澤のシュートは山崎が執念でブロック。入澤と福澤吉記(3年・ナサロット)の交替を経て、左から佐々木が蹴ったCKは中央でオフェンスファウル。80分は駿台に3人目の交替。高根沢と松本州(3年)をスイッチして、取り掛かるゲームクローズ。いよいよゲームは後半のアディショナルタイムへ。
80+1分は帝京にビッグチャンス。ほとんどの選手を前に上げて、萩原が蹴った長いFKに赤井が競り勝つと、センターバックで奮闘した久保莞太(3年・横浜F・マリノスJY)が丁寧に落とし、左サイドバックの鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)がきっちりシュートを枠へ収めるも、「出れない選手もああやって、応援とかでいつも声を掛けてくれるので、その分も出ているヤツらは覚悟を持ってやっている」と言い切る猪田が正面で丁寧に、丁寧にキャッチ。最後は渡辺鉄也(3年)もピッチへ解き放ち、さらに時間を使いながら、聞いたのは勝利を告げるホイッスル。「奇跡に近いんですけど、『大森采配的中!』って書いといてください。アハハハハ」と豪快に笑った指揮官。駒沢に響き渡る"カモン駿台"。逆転で帝京に競り勝った駿台が優勝した2008年度以来、10年ぶりとなる関東大会の出場権を獲得する結果となりました。


「ここまでやれるとは思わなかったですけど。本当によく頑張ったと思います。できすぎですね」と大森監督も笑った駿台ですが、T1の国士舘と帝京を下してファイナルまで勝ち上がった実力はホンモノ。とりわけ4試合で15ゴールを奪った爆発的な攻撃力は、「勢いだけというか、そういうのでやっているので、自分たちで上げていけたら良い試合ができると思います」と猪田も話した強烈な"勢い"を感じさせます。また、その"勢い"に「声援がガッと聞こえると、自分たちはもうアガってくるので、応援は大きいですね。普段からずっと仲良くて、一緒に楽しみながらやっているので」と大野も話した応援団が少なくない影響を与えていることも間違いのない所。そんな応援団の中には、この勝利に涙を浮かべる選手も。「どんなに相手の応援団が多くても、それに張ってやってくれるので力になりますね。国士舘の試合でも泣いているヤツがいるくらいでしたし、今日も本当にそういうヤツらを泣かせれたので良かったですね」とは猪田。この一体感もこれからの駿台にとって、大きな武器になっていくはずです。関東大会に向けての意気込みを問うと、「ウチの子たちがどこまでやれるのか、もう楽しみでしかないんですけどね。本当に今は勢いもあるので。あまり調子に乗らないようにとは思っているんですけど、絶対にアイツらは調子に乗ります(笑) だから、調子には乗らせますけど、足元はちゃんと見つめながら、謙虚に練習はやりたいかなと思っています」と大森監督。2018年の駿台学園には、ここからの東京も大いに沸かせて欲しいですね。        土屋

関東大会予選東京準決勝 関東第一×都立狛江@駒沢第2

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0428komazawa1.JPG関東大会の本大会へ出場するための切符を巡るセミファイナル。ディフェンディグチャンピオンの関東第一と、今大会のビッグサプライズとも言うべき都立狛江の一戦は駒沢第2球技場です。
都の代表権が懸かったトーナメントコンペティションでは、一昨年のインターハイ予選から実に5大会続けて、その代表権を獲得し続けている関東第一。今大会も初戦こそ都立江北に5-1と快勝を収めましたが、2回戦の都立東大和南戦に続き、先週行われた準々決勝の駒澤大学高戦と、2試合連続でウノゼロで競り勝ってセミファイナルへ。他校の監督もその勝負強さを称賛する中、"6大会連続"を決めるべく目の前の80分間に向かいます。
「いわゆる普通の都立高校」(長山拓郎監督)の躍進。初戦では昨年度の選手権予選でベスト4に入った東海大菅生を延長後半の決勝ゴールで1-0と沈めると、続く2回戦は駒込も1-0と撃破。先週のクォーターファイナルは大成を0-0からのPK戦で振り切って、堂々とベスト4まで勝ち上がってきた都立狛江。「技術とかでT1やT2のチームに劣っている所はあると思うんですけど、耐える力というのはどこのチームにも負けていないかなと思います」とセンターバックの曲木雄吉(3年・世田谷尾山台中)が話した通り、ここまでの3試合で無失点という守備力は特筆すべき安定感。一定以上の自信を携えて、東京王者に挑みます。会場の駒沢第2には、先週同様に夏日を思わせる強い陽射しが。注目の準決勝は狛江のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは開始3秒。センターサークルに入った曲木は、いきなりのキックオフシュートを枠の右へ。「どうせキーパーに取られちゃうんだったら、もう思い切ったことやれよっていうことで、『打っていいですか?』と言うから『打っていいぞ』と言いました(笑)」とは長山監督ですが、この試合への強い意欲をキックオフへ滲ませます。
3分は関東第一にチャンス。左サイドを運んだ加藤陽介(3年・VIVAIO船橋)がマイナスに折り返し、1人外した小関陽星(3年・町田JFC)のシュートは枠の右へ。6分は狛江。「自分はあまり緊張しなくて、先週の大成戦の方が緊張していました」という新井湧大(3年・調布FC)は、中盤でボールを奪うとそのまま積極的なミドルを放つも、ここは関東第一のGK北村海チディ(3年・GRANDE FC)が確実にキャッチ。9分も狛江。山本由稀(3年・コンフィアール町田)とキャプテンの安藤貴大(3年・東京小山FC)の連係で左CKを奪うと、秋本恭平(3年・町田木曽中)のキックで生まれた混戦でオフェンスファウルを取られましたが、「立ち上がりが大事と言っていた」(新井)狛江も繰り出す手数。
13分は関東第一。ボランチでスタメン起用された類家暁(1年・東京ベイFC U-15)が左へ流すと、サイドバックの弓氣田葵(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)の好クロスは飛び込んだ小関も池田健太(3年・VIVAIO船橋)もわずかに届きませんでしたが、1年生コンビで悪くないトライを。18分は狛江。右サイドでルーズボールを収めた櫻井拓実(2年・ルキノSC)は果敢なミドルをゴール右へ。「『相手は強いけど引いて守って勝つんじゃなくて、とにかく奪いに行け』ということで、それがうまくできた所もあった」とは長山監督。奥村直木(2年・世田谷梅丘中)の出場停止を受け、この日のセンターバックに入った神山範佳(3年・町田木曽中)と曲木に、中盤アンカーを務める勝見明也(3年・緑山SC)のユニットも安定感を打ち出し、やれる雰囲気を纏い始めた狛江。
さて、なかなか決定機を創り切れない関東第一は29分にビッグチャンス。右サイドバックの田中大生(2年・横浜FC JY)を起点に、加藤とのワンツーでバイタルに潜った小関のシュートは右スミを襲うも、狛江のGK八木下悠太(3年・町田小山中)がファインセーブで回避。32分にも類家、池田、類家、加藤と細かく回し、小関が前を向くも、ここは狛江の右サイドバックを託されている伊藤潤(2年・コンフィアール町田)が体を入れて好カット。37分に大井航太(2年・VIVAIO船橋)が放ったミドルもゴール左へ。攻撃する時間は長くなる中で、関東第一もゴールは取り切れません。
ただ、忍ばせていた一刺しは38分。狛江が獲得したFKをきっちり跳ね返した所から、一気に関東第一のカウンターが発動。ポストプレーに長けた池田が左へ繋ぐと、縦に運んだ加藤は「とりあえず打とうかなと」左足でフィニッシュ。良いコースを辿ったボールは右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「自分としても公式戦で初めてのゴールだったので、そういう意味でも嬉しかったです」と笑った加藤の"一刺し"。関東第一が1点のアドバンテージを手にしました。
スコアに変化が訪れると、お互いに創り合った決定的なチャンス。39分は関東第一。北村のキックで抜け出した加藤がゴールに迫るも、抜群のタイミングで飛び出した八木下ががっちりキャッチ。40分は狛江。上がってきた伊藤が外へ付け、秋本のクロスがこぼれると、左で待っていた安藤のボレーはクロスバーの上へ。「声とか気持ちとかそういう面では負けてた感じはしなかったです」とはその安藤。前半は関東第一がリードして、ハーフタイムに入りました。


後半スタートから双方に交替が。関東第一は大井に替えて笠井佳祐(1年・VIVAIO船橋)が、狛江は山本に替えて前原龍太郎(3年・世田谷FC)がそれぞれピッチへ送り込まれると、立ち上がりの攻勢は狛江。43分に前原が左へ振り分け、秋本のグラウンダークロスをニアでスライディングしながら合わせた小野達矢(3年・世田谷砧中)のシュートは枠の左へ。46分に安藤が左からFKを蹴り込むも、飛び込んだ曲木はわずかに届かず。48分にも左サイドをドリブルで持ち出した前原が、そのまま打ったミドルは北村にキャッチされましたが、狛江が滲ませる同点への意欲。
51分は関東第一に決定機。左サイドを加藤とのワンツーで抜け出した弓氣田はマイナスに折り返し、笠井のスルーから池田が左足で叩いたシュートはクロスバー直撃。53分にも古宇田旭(3年・横浜F・マリノスJY追浜)の左FKをファーで加藤が残すも、伊藤が懸命にクリア。56分にもエリア内で笠井が粘って残し、加藤が放ったシュートは枠の上へ。60分にもビッグチャンス。古宇田のパスから、左サイドを駆け上がった弓氣田が中へ戻し、小関が打ち切ったシュートは右のポストを叩き、左のポストにも当たってピッチ内へ。「ポストとかバーに結構助けられた」とは安藤ですが、点差を広げられません。
「中盤頃とか足が止まった感じはありましたね」と長山監督も振り返った狛江を横目に、続く関東第一のアタック。62分には類家のパスから、1人外した笠井の左足シュートは八木下がキャッチ。70分にも右サイドへ開いた笠井が低いボールで折り返し、飛び込んだ古宇田のシュートがクロスバーの上に消えると、狛江ベンチは2枚替えを決断。秋本と小野の2トップを下げて、中元広平(3年・目黒東山中)と櫻井太陽(2年・三菱養和調布JY)を投入し、前線に前原と中元を並べ、櫻井太陽を左サイドハーフに配して最後の勝負へ。
71分は狛江。新井のパスを中元が右へ展開し、上がった伊藤のクロスは北村が確実にキャッチ。74分も狛江。ここも新井のパスを引き出した中元は、右からカットインしながらシュートを枠へ収めるも、北村がキャッチ。そして77分には狛江に絶好の同点機。中元が右へ流し、サイドを単騎で突破した櫻井拓実は中へ。走り込んだ前原のシュートは枠を捉えましたが、北村が圧巻のビッグセーブで仁王立ち。「途中で出た2人もこんな言い方は変ですけど、今日ぐらいできるとは思っていなかったです」(長山監督)「途中から出てくるヤツの勢いとか元気がいいんです」(安藤)と2人揃って交替カードへの評価を口にしたものの、北村に菅原涼太(1年・SCH FC)と山脇樺織(3年・東急SレイエスFC)のセンターバックコンビで組むトライアングルを中心に、揺るがない関東第一の堅陣。あと一歩でスコアは変わりません。
78分に足が攣るまで奮闘した弓氣田と高嶋隆太(2年・田口FA)をスイッチして、ゲームクローズに取り掛かる関東第一。「バックラインは粘り強くやってくれているので、どこかで1点取れば守り切ってくれるだろうなという安心感はある」と語る加藤も、左サイドで高い技術を生かしながら独力で30秒近くを消し去るなど、勝負に徹する姿勢を。80+3分は狛江のラストチャンス。前原が粘って得た左CKを安藤が蹴り込むと、ファーに入った前原のヘディングは、しかし枠の右へ外れて万事休す。「チームとして苦しくなるのはわかっていたんですけど、その通り苦しかったですね」とは加藤ですが、それでもきっちりウノゼロで勝ち切った関東第一が、2年連続で関東大会の出場権を手中に収める結果となりました。


「去年は関東大会予選に出られなかったんですけど、『大会をやることが一番良い練習なんだよ』ということは言っている中で、真剣勝負で4試合も公式戦ができたので、『本当に良い練習になっているな』というのは凄く感じます」と長山監督も話した狛江。関東第一に対して「相手が感じたことのないようなスピード感で、ビックリしました」と苦笑した安藤も、「これに慣れていって、インハイ、選手権では自分たちもこういう相手を倒せるようにならないといけないと思うので、練習の質をもっと上げていこうって話をしていました」ときっぱり。新井も「『自分たちも結構やれるんだ』という自信が付いたので、これからの練習でもっと基準を変えて行って、次の大会ではカンイチとかに勝てるようになりたいです」と言い切るなど、練習への意識もこの結果を受けて、より変わって行きそうな雰囲気を感じました。基本的にお調子者が多い代ということで、「自分たちはこの間も先生に『常にチャレンジャーだ』と言われていますし、勝っても勝っても調子に乗らずに、謙虚に行こうと思います。自分が引き締めないとチームもまた調子に乗っちゃうので」と笑った安藤も、「この大会は楽しかったです。だから絶対戻ってきたいですね。インハイと選手権で」と確かな意気込みを口に。狛江の今後にも注目していく必要がありそうです。         土屋

関東大会予選東京準々決勝 成立学園×帝京@駒沢第2

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0421komazawa4.JPG同じ地区でしのぎを削ってきたライバルが激突するビッグマッチ。帝京と成立学園の"十条ダービー"は、引き続き駒沢第2球技場です。
昨シーズンも都内屈指のチームを創り上げながら、選手権予選はまたも関東第一に決勝で敗れ、全国出場には一歩及ばなかった成立学園。迎えた今シーズンは「今はまだまだチームとして積み重ねる時期で、それは彼ら選手には伝えています」と話す五十嵐和也監督が新たに就任し、狙うは言うまでもなく都内の頂。今大会も初戦で私立武蔵を5-0で退けると、2回戦は日大豊山を1-0で振り切って、このクォーターファイナルへ。2年ぶりの関東大会出場へ王手を懸けたい80分間に向かいます。
近年の都内におけるトーナメントコンペティションでは、常に上位進出を果たしているものの、全国の懸かったインターハイ予選と選手権予選では惜しい結果が続いている帝京。リーグ戦では3連敗と厳しい結果を突き付けられている中で、「インターハイ、選手権の準備としてリーグ戦を考えてやっているので、意味のあるリーグ戦になっているのかなと思います」とは日比威監督。迎えた今大会は早稲田実業に1-0で辛勝を収めると、2回戦の都立東久留米総合戦は5-1で勝ち切ってのベスト8進出。さらなる先を目指して、大事な一戦に挑みます。さすがに夕方の迫る駒沢は少し過ごしやすい気候に。注目のダービーは16時30分にキックオフされました。


「今年のチームは"貫き通す"という意味ではポゼッションしてというのもあるんだけど、逆に割り切って両方できなきゃいけないというので、シンプルにスペースを突かせてやらせたりしている」と日比監督が話したように、帝京は三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)と中村怜央(3年・FC東京U-15深川)のドイスボランチを軸にボールを回しつつ、「チームの人を捕まえて練習したりとか、ボールを蹴ってもらって収める練習とかやっているので、その成果が少しずつ出ているかなと思っています」と話す長身フォワードの赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)へシンプルに当てるアタックも交えながら、引き寄せるゲームリズム。
25分は帝京。右から三浦が蹴ったCKは、成立のボランチを務める宇津木優人(2年・柏レイソルU-15)がニアでクリア。直後の右CKを再び三浦が蹴り込み、ファーで久保完太(3年・横浜F・マリノスJY)が折り返すと、入澤大(3年・FC東京U-15深川)の決定的な左足ボレーは枠の上へ外れ、頭を抱えるピッチとベンチ。32分も帝京。梅木遼(3年・ミラグロッソ海南)の仕掛けで奪った右CKをここも三浦が入れるも、成立のGK阿部海士(3年・聖和学園)がキャッチ。セットプレーを中心に押し込むカナリア軍団。
すると、勢いそのままに先制点を手にしたのは37分。「9番の梅木君が足が速いので、その裏というのは意識付けしていた」というセンターバックの久保が右サイドへ好フィードを届けると、ここに走った梅木は少し運んでから右足でフィニッシュ。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「サイドの足の速い梅木を使ったりするのを意識しています」と司令塔の三浦も言及するスピードスターと、「1本思い切って蹴ったら入ったので良かったです」と笑う久保のイメージもしっかりシンクロ。帝京が1点のリードを奪って、最初の40分間は終了しました。


さて、なかなかチャンスを創り切れない中でビハインドを追い掛ける展開となった成立は、後半開始から巻き直したアタックのネジ。42分にサイドバックの豊田優磨(2年・成立ゼブラFC)を起点に三上昂佑(3年・成立ゼブラFC)が右へ付けると、10番を背負った窪田稜(3年・S-P FUTE U-15)はサイドをえぐり切って折り返すも、DFが何とかクリア。44分にもスムーズな形。宇津木のパスを窪田が捌き、八木橋俊介(3年・青森山田中)が落としたボールに、右足を強振した窪田のシュートは枠の左へ。46分はセットプレー。右からレフティの原豪汰(3年・三菱養和調布JY)がFKを蹴り込み、八木橋のボレーはクロスバーを越えましたが、ようやく出てきた攻撃の迫力。
49分は帝京。中村が裏へ落とし、走った赤井はバイタルへ侵入するも、ここは成立のセンターバック西尾将吾(3年・グラマードNFC)がきっちりカバー。50分も帝京。右から梅木が中央へ戻し、中村が狙ったミドルはゴール左へ。51分は成立。八木橋が右へ振り分け、またも窪田が抜け出してクロスを上げるも、帝京のセンターバックを託された萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)が懸命にクリア。やり合う両者。増える手数。
52分に1枚目のカードを切ったのは成立ベンチ。三上に替えて、切り札の高木健匠(3年・横浜F・マリノスJY)をそのまま右サイドハーフへ送り込み、図るサイドの推進力アップ。54分も成立。キャプテンの照山颯人(3年・柏レイソルU-15)のフィードを、高木が収めて獲得した右CKを原が蹴るも、萩原はきっちりクリア。55分も成立。窪田が左サイドからロングスローを投げ込むも、シュートには至らず。59分にも右から原がCKとFKを相次いで打ち込むも、前者はDFが跳ね返し、後者は帝京のGK白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)が確実にキャッチ。「今まで失点がずっと続いていたので、ディフェンスの意識がみんな高かった」と話す久保と萩原のセンターバックコンビに、サイドバックは右に塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)、左に鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)で組んだ帝京4バックの続く高い集中力。
62分は成立に2人目の交替。左サイドハーフの後藤樹(3年・成立ゼブラFC)を下げて、茅野祐太(3年・大豆戸FC)がピッチへ。63分は帝京に決定機。「点が入った後はチームのみんなが声を掛けたりしてくれたので、何とか競り合いに勝てたり、収めることもできた」と振り返る赤井が基点を創り、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)が繋いだボールを中村が狙うも、ボールはクロスバーにハードヒット。ビッグチャンスが訪れましたが、追加点とは行きません。
何とか追い付きたい成立は、67分に3人目の交替としてボランチの太田弘量(3年・成立ゼブラFC)と鎌原遼祐(3年・三菱養和巣鴨JY)をスイッチすると、宇津木と八木橋がボランチに並び、最前線に入った鎌原の下に右から高木、茅野、窪田の3枚を並べ、明確に打ち出した攻撃姿勢。ただ、以降もなかなかチャンスを創り切れないと見るや、75分には宇津木と原田歩夢(3年・成立ゼブラFC)も入れ替えて最後の勝負へ。直後に窪田の突破で得た左CK。原が丁寧に蹴り込んだキックは白鳥がパンチングで掻き出すと、八木橋のヘディングはゴール右へ。帝京が1点のアドバンテージを握ったまま、ゲームはいよいよ最終盤へ。
79分は帝京。鷲田の左ロングスローから、佐々木が枠へ収めたシュートは阿部がキャッチ。80分も帝京。赤井のパスから中村が打ち切ったミドルも阿部にキャッチされましたが、そのシュートが結果的にこのゲームのラストチャンス。「今の帝京はチャンピオンじゃないから、1つずつ叩き上げじゃないけど頑張ってやらせて、雑草のようにやらないとダメだと思う」と日比監督も言い切った帝京が、ベスト4への勝ち名乗りを上げる結果となりました。       土屋